"Mr&Mrs Ogiwara detective office" 事件簿1
一方智子はその間翔を想いながらむなしい時を過ごしていた。
実家の果樹園を手伝いながら翔の行方を追ってあちこち伝手をたどって探していた。
翔が借金をしている農協や金融会社は翔の現住所を把握しているはずなので、何度も行ってみたが、個人情報なのでと言って教えてはくれなかった。
その度にしょぼしょぼと帰途につく智子を兄の裕一郎は可哀そうだと思いながらも、翔の行方は教えてはやれなかった。
裕一郎は翔がすべて借金を返し終えてその時点でまだ智子が翔に会いたいと言うのなら教えてやるつもりだった。
翔に紹介してやったところは裕一郎の大学の同窓生だったのだが、同じ後継者として悩みも分かち合えた友人だ。
彼からは翔はとてもまじめに働いていると報告も受けている。いい青年を紹介してくれたと礼まで言われた。
そこでは定時に上がれるのでその後は午前2時まで警備の仕事をしているらしい。
借金もあと半年というところまで来ていると言っていた。彼はあまりうまくいっていなかった物流の方は会社をたたんで跡地も売ってしまうと連絡してきてくれて、お菓子の生産ラインは順調なようで群馬の工場のあるところに引っ越すのだそうだ。
翔には次の仕事を紹介しておくから心配いらないと言ってくれた。
智子も翔もよく頑張ったのでちょっと早いが智子に翔の居場所を教えてやろうと思い智子を事務所に呼んだ。
紙に翔の働いている場所とアパートの住所も書いて智子に渡した。それを見てきょとんとしている。
翔の働いている会社と住んでるアパートだ。
そう言うと大きく見開いた目からぽたぽたと涙を流して、その紙を凝視している。
涙で濡らして字が滲んだら大変だとばかりに、急いでテイッシュで涙を拭いて紙を大事そうに胸に抱えて、
「お兄ちゃんありがとう。本当に本当にありがとう」
そう言うと深く頭を下げた。
「あと半年で完済するらしい。そこは俺の友人の会社でここを出て行く時に紹介したんだ。お前に今日まで伝えなかったのは悪かったけど親父はまだ反対してる。智子がここまで執念深いとは思わなかったよ。翔に会ってみろ。翔はもう智子の事は忘れてるかもしれないからな。忘れていないなら後の半年をお前が支えてやれ。完済したら俺はここに戻ってきてもいいと思っているんだ。二人が帰って来るならその時は親父は俺が説得する。ワイナリーも軌道に乗って来て信頼できるやつが居るのは助かるからな。でも二人で決めればいい。友人も翔の事は褒めてたよ。真面目で純粋で一生懸命働いてくれると言ってな。借金なんか抱えなければ二人とももっと早く幸せになれたのにな」
「うん、ありがとうお兄ちゃん、ありがとう」
智子は涙を流しながら何度も何度も裕一郎に礼を言って泣いていた。
「ほら、早く行って来い。今すぐ出ても夕方になるぞ。親父には俺から話しておいてやるから心配するな」
「うん、何から何までありがとう。お母さんにはラインすると言って置いて、行ってくるね」
智子はソファーから立ち上がるともう一度裕一郎に90度に頭を下げて”ありがとう”と言って、駆け出して行った。
実家の果樹園を手伝いながら翔の行方を追ってあちこち伝手をたどって探していた。
翔が借金をしている農協や金融会社は翔の現住所を把握しているはずなので、何度も行ってみたが、個人情報なのでと言って教えてはくれなかった。
その度にしょぼしょぼと帰途につく智子を兄の裕一郎は可哀そうだと思いながらも、翔の行方は教えてはやれなかった。
裕一郎は翔がすべて借金を返し終えてその時点でまだ智子が翔に会いたいと言うのなら教えてやるつもりだった。
翔に紹介してやったところは裕一郎の大学の同窓生だったのだが、同じ後継者として悩みも分かち合えた友人だ。
彼からは翔はとてもまじめに働いていると報告も受けている。いい青年を紹介してくれたと礼まで言われた。
そこでは定時に上がれるのでその後は午前2時まで警備の仕事をしているらしい。
借金もあと半年というところまで来ていると言っていた。彼はあまりうまくいっていなかった物流の方は会社をたたんで跡地も売ってしまうと連絡してきてくれて、お菓子の生産ラインは順調なようで群馬の工場のあるところに引っ越すのだそうだ。
翔には次の仕事を紹介しておくから心配いらないと言ってくれた。
智子も翔もよく頑張ったのでちょっと早いが智子に翔の居場所を教えてやろうと思い智子を事務所に呼んだ。
紙に翔の働いている場所とアパートの住所も書いて智子に渡した。それを見てきょとんとしている。
翔の働いている会社と住んでるアパートだ。
そう言うと大きく見開いた目からぽたぽたと涙を流して、その紙を凝視している。
涙で濡らして字が滲んだら大変だとばかりに、急いでテイッシュで涙を拭いて紙を大事そうに胸に抱えて、
「お兄ちゃんありがとう。本当に本当にありがとう」
そう言うと深く頭を下げた。
「あと半年で完済するらしい。そこは俺の友人の会社でここを出て行く時に紹介したんだ。お前に今日まで伝えなかったのは悪かったけど親父はまだ反対してる。智子がここまで執念深いとは思わなかったよ。翔に会ってみろ。翔はもう智子の事は忘れてるかもしれないからな。忘れていないなら後の半年をお前が支えてやれ。完済したら俺はここに戻ってきてもいいと思っているんだ。二人が帰って来るならその時は親父は俺が説得する。ワイナリーも軌道に乗って来て信頼できるやつが居るのは助かるからな。でも二人で決めればいい。友人も翔の事は褒めてたよ。真面目で純粋で一生懸命働いてくれると言ってな。借金なんか抱えなければ二人とももっと早く幸せになれたのにな」
「うん、ありがとうお兄ちゃん、ありがとう」
智子は涙を流しながら何度も何度も裕一郎に礼を言って泣いていた。
「ほら、早く行って来い。今すぐ出ても夕方になるぞ。親父には俺から話しておいてやるから心配するな」
「うん、何から何までありがとう。お母さんにはラインすると言って置いて、行ってくるね」
智子はソファーから立ち上がるともう一度裕一郎に90度に頭を下げて”ありがとう”と言って、駆け出して行った。