"Mr&Mrs Ogiwara detective office" 事件簿1
あなたのそばへ
智子はすぐに小さなトランクに2~3泊の用意をしてタクシーに乗って駅まで行った。
そして甲州駅から甲府まで行って東京駅から翔のいる台東区には地下鉄がいいだろうかと、智子は電車の中で携帯のアプリで検索してそわそわした時間を過ごした。
母親にラインするのをうっかり忘れるところだった。
この2年半近くいつも智子を優しく励ましてくれた母に、翔に会えることを報告した。
母からは、”良かったわね”という言葉とウサギが万歳しているスタンプが送られてきて、思わず笑ってしまった。
母はいつも智子が暗く沈み込んでしまう前に、ランチに連れ出してくれたり甲府まで出てショッピングにつき合ってくれたりしてくれる。
ラインにはどこで見つけてくるのか楽しく可笑しいスタンプを送ってくれる。同じ家にいるのに…
そんな母に支えられて翔に会えない寂しい日々を耐えていたのだ。
そして兄は翔を陰で支えてくれていたのだと知った。それを想うとまた涙が出て来た。兄には感謝しかない。
兄は翔と二人でここに帰って来てもいいんだとも言ってくれたのだ。
智子は優しい家族に支えられて今日まで過ごしてこられたのだ。でも翔にはそんな家族は居なかったのだ。
きっともっと辛い思いをしていたに違いない。
先の事はまだ何も考えられないが、早く早く翔に会いたい。
兄に教えられた会社にまず行ってみた。でもそこはもう営業しているようには見えなかった。
智子は入り口ドアの前で立ち尽くしてどうしたらいいか思案していると、
「大野さん?」
と兄と同じくらいの年の人が智子に声をかけてくれた。
「はい」
「ああ、入れ違いにならなくてよかった。私はここの会社をやっていたものですが、半年前に廃業をして2ケ月ほど前に整理が終わってもうすぐここも解体してしまうんですよ。さっき裕一郎から電話があって妹さんが来るかもしれないと聞いたんで、入れ違いにならなくてよかった」
「そうなんですか、色々山野辺がお世話になりありがとうございます。これ家のブドウです。ちょうど今収穫した後なので、よかったらどうぞ」
「重いのに甲州から持ってきてくれたんですね。翔と言い、裕一郎もですが甲州人は義理堅いですね。ありがたくいただきます」
嬉しそうにブドウを貰ってくれた。
重いのを持ってきたかいがある。あと2房は翔と食べようと思って別にしてある。
「翔はこの先を言った2本目の通りを右に曲がってすぐのアパートに住んでます。でも、今いるかなあ。夜中も仕事して休みのうち1日はコンビニで働いてるんで…」
「はい、遅くなっても待ってます。ありがとうございます」
智子は走り出すのを我慢するのが必死だった。
何度も振り返って翔が世話になった社長にお辞儀をしていた。
でも気持ちは体全体が表していたのだろう後姿を見送っていた社長は“若いっていいなあ”と呟いて智子が振り返る度に手を振って、角を曲がるまで見送っていた。
角を曲がったとたん智子は走り出していた。
古いアパ-トだったがその2階の奥の部屋が翔の部屋らしい。
ドアの横の表札みたいな札に山野辺翔と書いてあった。
その名前を見ただけで体が喜びに震えた。
智子はその字を指でなぞって、また泣き出しそうになったがぐっとこらえた。
せっかく会えるのだ泣いた顔ではなく笑顔で翔と対面したかった。
そして甲州駅から甲府まで行って東京駅から翔のいる台東区には地下鉄がいいだろうかと、智子は電車の中で携帯のアプリで検索してそわそわした時間を過ごした。
母親にラインするのをうっかり忘れるところだった。
この2年半近くいつも智子を優しく励ましてくれた母に、翔に会えることを報告した。
母からは、”良かったわね”という言葉とウサギが万歳しているスタンプが送られてきて、思わず笑ってしまった。
母はいつも智子が暗く沈み込んでしまう前に、ランチに連れ出してくれたり甲府まで出てショッピングにつき合ってくれたりしてくれる。
ラインにはどこで見つけてくるのか楽しく可笑しいスタンプを送ってくれる。同じ家にいるのに…
そんな母に支えられて翔に会えない寂しい日々を耐えていたのだ。
そして兄は翔を陰で支えてくれていたのだと知った。それを想うとまた涙が出て来た。兄には感謝しかない。
兄は翔と二人でここに帰って来てもいいんだとも言ってくれたのだ。
智子は優しい家族に支えられて今日まで過ごしてこられたのだ。でも翔にはそんな家族は居なかったのだ。
きっともっと辛い思いをしていたに違いない。
先の事はまだ何も考えられないが、早く早く翔に会いたい。
兄に教えられた会社にまず行ってみた。でもそこはもう営業しているようには見えなかった。
智子は入り口ドアの前で立ち尽くしてどうしたらいいか思案していると、
「大野さん?」
と兄と同じくらいの年の人が智子に声をかけてくれた。
「はい」
「ああ、入れ違いにならなくてよかった。私はここの会社をやっていたものですが、半年前に廃業をして2ケ月ほど前に整理が終わってもうすぐここも解体してしまうんですよ。さっき裕一郎から電話があって妹さんが来るかもしれないと聞いたんで、入れ違いにならなくてよかった」
「そうなんですか、色々山野辺がお世話になりありがとうございます。これ家のブドウです。ちょうど今収穫した後なので、よかったらどうぞ」
「重いのに甲州から持ってきてくれたんですね。翔と言い、裕一郎もですが甲州人は義理堅いですね。ありがたくいただきます」
嬉しそうにブドウを貰ってくれた。
重いのを持ってきたかいがある。あと2房は翔と食べようと思って別にしてある。
「翔はこの先を言った2本目の通りを右に曲がってすぐのアパートに住んでます。でも、今いるかなあ。夜中も仕事して休みのうち1日はコンビニで働いてるんで…」
「はい、遅くなっても待ってます。ありがとうございます」
智子は走り出すのを我慢するのが必死だった。
何度も振り返って翔が世話になった社長にお辞儀をしていた。
でも気持ちは体全体が表していたのだろう後姿を見送っていた社長は“若いっていいなあ”と呟いて智子が振り返る度に手を振って、角を曲がるまで見送っていた。
角を曲がったとたん智子は走り出していた。
古いアパ-トだったがその2階の奥の部屋が翔の部屋らしい。
ドアの横の表札みたいな札に山野辺翔と書いてあった。
その名前を見ただけで体が喜びに震えた。
智子はその字を指でなぞって、また泣き出しそうになったがぐっとこらえた。
せっかく会えるのだ泣いた顔ではなく笑顔で翔と対面したかった。