僕の夏休みだけの亡霊(読:ヒーロー)
夏希に会った日から一週間が経って、僕はまた山を登ることにした。
はあはあと言い、汗をかきながら足を動かす。年々暑くなっていく夏は嫌いだけど、地獄の日々から逃げられる夏休みだけは大好きだった。
最初に出会った切り株に今日は蝿しか止まっていなかった。僕は手で追い払って、腰を下ろす。ここは本当に風当たりが良い場所だなと感じる。
それと一緒にこの楽しい時間はあと少しなんだなと思って辛くなる。
水を飲んでいた、その時、一週間ぶりの声が聞こえた。
「悠太じゃん」
びっくりして水を吹き出しそうだった。竹の笹が風で揺れて当たる音しか聞こえなかったから本当にびっくりした。
「ビックリした。…久しぶりだね」
「ね、久しぶり」
前と同じ服を着た彼女が明るく微笑んでいた。
「なんだか辛そうな表情してたけど、何かあったの?」
どきりと胸の音がなる。誰もいないと思って、辛い表情が出ていたのかもしれない。
もし家でこんな表情をしていたら、何様?って嫌味を言われるんだろうし、学校では先生にさえいじめを見て見ぬ振りされる。辛い表情をしたところで誰も何も気づいてくれない、って思っていたけど、気づいてくれてなんだか嬉しかった。
だから僕も夏希なら、って気を許すことにした。
「僕のお父さんとお母さんが酷い人なんだ」
みんなの前では僕を普通の子どものように扱うけど、家の中では空気のように扱われている。学校では落書きをされたりしていじめられている。そして夏休みになって、毎年来ている、この叔母さんと叔父さんの家に来たというのを。
話を聞いてくれた夏希は、まるで自分ごとのように感じ、涙を流してくれていた。
「ごめんね。悠太が一番辛いって、分かってるけど、、やっぱり許せないなって思って...」
僕は何も言えずにただ黙る。どこかから、カラスの鳴く声が聞こえる。
「悠太が絶対にいじめられて良いはずないし、自分のことしか考えてない叔父さんと叔母さんも最低だと思う」
「でも、僕何も言えないから。言ったって、誰も聞いてくれないよ」
次第に自分の声が小さくなるのが分かった。最後までこの言葉が夏希に届いたかは分からない。
「じゃあさ、今一緒に住んでる二人に相談したらいいんじゃないの?」
恵美おばさんと智樹おじさんってことか。
「二人は信じてくれるかな?」
「信じてくれるに決まってるじゃん。初めて会った時にもらったおにぎりは、できてから時間が経って冷たくなっていたけど、愛情が詰まってたよ」
僕は俯いてた顔を夏希の方に向けて、「愛情?」と尋ねてみる。
「うん、愛情!」
愛情なんておにぎり食べただけで分かるのかな。
はあはあと言い、汗をかきながら足を動かす。年々暑くなっていく夏は嫌いだけど、地獄の日々から逃げられる夏休みだけは大好きだった。
最初に出会った切り株に今日は蝿しか止まっていなかった。僕は手で追い払って、腰を下ろす。ここは本当に風当たりが良い場所だなと感じる。
それと一緒にこの楽しい時間はあと少しなんだなと思って辛くなる。
水を飲んでいた、その時、一週間ぶりの声が聞こえた。
「悠太じゃん」
びっくりして水を吹き出しそうだった。竹の笹が風で揺れて当たる音しか聞こえなかったから本当にびっくりした。
「ビックリした。…久しぶりだね」
「ね、久しぶり」
前と同じ服を着た彼女が明るく微笑んでいた。
「なんだか辛そうな表情してたけど、何かあったの?」
どきりと胸の音がなる。誰もいないと思って、辛い表情が出ていたのかもしれない。
もし家でこんな表情をしていたら、何様?って嫌味を言われるんだろうし、学校では先生にさえいじめを見て見ぬ振りされる。辛い表情をしたところで誰も何も気づいてくれない、って思っていたけど、気づいてくれてなんだか嬉しかった。
だから僕も夏希なら、って気を許すことにした。
「僕のお父さんとお母さんが酷い人なんだ」
みんなの前では僕を普通の子どものように扱うけど、家の中では空気のように扱われている。学校では落書きをされたりしていじめられている。そして夏休みになって、毎年来ている、この叔母さんと叔父さんの家に来たというのを。
話を聞いてくれた夏希は、まるで自分ごとのように感じ、涙を流してくれていた。
「ごめんね。悠太が一番辛いって、分かってるけど、、やっぱり許せないなって思って...」
僕は何も言えずにただ黙る。どこかから、カラスの鳴く声が聞こえる。
「悠太が絶対にいじめられて良いはずないし、自分のことしか考えてない叔父さんと叔母さんも最低だと思う」
「でも、僕何も言えないから。言ったって、誰も聞いてくれないよ」
次第に自分の声が小さくなるのが分かった。最後までこの言葉が夏希に届いたかは分からない。
「じゃあさ、今一緒に住んでる二人に相談したらいいんじゃないの?」
恵美おばさんと智樹おじさんってことか。
「二人は信じてくれるかな?」
「信じてくれるに決まってるじゃん。初めて会った時にもらったおにぎりは、できてから時間が経って冷たくなっていたけど、愛情が詰まってたよ」
僕は俯いてた顔を夏希の方に向けて、「愛情?」と尋ねてみる。
「うん、愛情!」
愛情なんておにぎり食べただけで分かるのかな。