傷ついた王子は森の魔女に癒される
「君に触れて欲しくないというわけではない。ただ、その……恥ずかしいというか……」
とっさに嘘をつく。本当は、侍女に肌を見られることには慣れていて照れはない。
召使いたちが身の回りの世話をしてくれるのは、これまでのファリエルの日常だった。
苦しい言い訳に、リリアナが『そっか』と納得した様子を見せる。
「わかりました。はい、どうぞ」
絞った布巾を笑顔で手渡された。
ファリエルは温かく湿ったそれを受け取ると、シャツを脱ぎ、自分で身体を拭き始めた。
筋肉がこわばっていて、拭く動きすら、きしむような感覚が走る。
それどころか、薬で抑えられていた身体中の傷が一斉にうずき出した。
「くっ……」
思わず声が洩れる。
歯を食いしばり、痛みをこらえながら布巾を肌に滑らせる。
するとリリアナが顔を覗き込んできた。
「痛み、ぶり返しちゃいましたか? やっぱり私がやりますね」
「すまない。お願いできるだろうか」
「はい! お任せください!」
差し出された手に布巾を返す。リリアナは桶の前にしゃがみ込むと、改めて布巾を湯に浸した。
『このタイミングで痛みが出るってことは……』とつぶやきながら、ちゃぷちゃぷと音を立てる。
薬について思い巡らせているのか、その顔は真剣そのものだった。
ぎゅっと布巾を絞り、立ち上がる。中腰の姿勢でファリエルの肩のあたりを拭き始める。
その直後。
ぴたりと動きが止まった。
とっさに嘘をつく。本当は、侍女に肌を見られることには慣れていて照れはない。
召使いたちが身の回りの世話をしてくれるのは、これまでのファリエルの日常だった。
苦しい言い訳に、リリアナが『そっか』と納得した様子を見せる。
「わかりました。はい、どうぞ」
絞った布巾を笑顔で手渡された。
ファリエルは温かく湿ったそれを受け取ると、シャツを脱ぎ、自分で身体を拭き始めた。
筋肉がこわばっていて、拭く動きすら、きしむような感覚が走る。
それどころか、薬で抑えられていた身体中の傷が一斉にうずき出した。
「くっ……」
思わず声が洩れる。
歯を食いしばり、痛みをこらえながら布巾を肌に滑らせる。
するとリリアナが顔を覗き込んできた。
「痛み、ぶり返しちゃいましたか? やっぱり私がやりますね」
「すまない。お願いできるだろうか」
「はい! お任せください!」
差し出された手に布巾を返す。リリアナは桶の前にしゃがみ込むと、改めて布巾を湯に浸した。
『このタイミングで痛みが出るってことは……』とつぶやきながら、ちゃぷちゃぷと音を立てる。
薬について思い巡らせているのか、その顔は真剣そのものだった。
ぎゅっと布巾を絞り、立ち上がる。中腰の姿勢でファリエルの肩のあたりを拭き始める。
その直後。
ぴたりと動きが止まった。