傷ついた王子は森の魔女に癒される
 そこまで一気に考えたファリエルは、思わず眉をひそめた。

(なにを失礼なことを妄想しているんだ僕は。こんな踏み込んだことを考えたら失礼だろう……!)

 思考を飛躍させてしまった自分に呆れてしまう。
 小さくため息をつき、再びリリアナのひとつひとつの仕草を目で追う。

 調薬する様子を眺めるうちに、今度は別の考えが浮かんできた。


 いつかは必ずここを去らなければならないけれど。
 国へと戻ったら、一体僕はどうなってしまうのだろう。

 処刑された瞬間は、今でも心に焼きついている。
 でも確かに今、僕は生きている。


 処刑されたはずの人間が生きて戻ったら、不気味がられるに違いない。
 その上、もし自分が再び魔女と関わったと知れたら、また民から忌み嫌われるだろう。
 もしかしたら、魔女の怪しい術でよみがえったなどと言われるかもしれない。


 傷はだいぶ癒えたのに、拷問の痛みはすぐによみがえる。
 処刑台から見た無数のぎらついた目が、血を搾り取ろうとするかのようにきつく胸を締めつける。



 僕は本当に、あの国に帰るべきなのだろうか――。



「……さん。……あ、あの、ファリエルさん」
「……?」

 か細い声で呼び掛けられて、はっと自分の心の声から目を覚ます。
 すると真っ赤な顔をしたリリアナが、気まずげな表情を浮かべていた。
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