傷ついた王子は森の魔女に癒される
「だが、なにも見えなくては心細いだろう?」
「いえいえ、そんな大したことじゃないです。どんなに具合が悪くなったって、ひとりで耐えるものですし。魔女なら当たり前のことです」

 リリアナの強さに、はっとさせられる。
 ひとりで(・・・・)耐えるのは(・・・・・)当たり前(・・・・)。魔女はそうやって孤独に暮らしているものなのか。 

 僕よりずっと、この子は強い――。


 だからといって、自分ひとりで先に眠るなんて考えられない。
 ファリエルは、別の方向を見ているリリアナに向かって少し身を乗り出した。

「では、僕のわがままを聞いてはもらえないだろうか」
「わがまま、ですか?」

 こてんと首をかしげる。その仕草のかわいらしさに、思わず「うっ」と声が出そうになってしまった。
 咳払いでごまかして、改めて表情を引き締める。

「リリアナ」
「はい」
「……今夜はずっと、君と共に過ごさせてもらいたい」
「え!」

 裏返った声が部屋に反響する。
 アクアブルーの瞳は、驚きのあまり涙がにじんでいた。


「夜を一緒に、過ごす……んですか……?」
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