傷ついた王子は森の魔女に癒される

8 魔女と過ごす夜(3)

 リリアナにいきなり照れられて、ファリエルはぎょっとした。
 すぐに理由に気付けば自分の発言が恥ずかしくなる。

「いや変な意味じゃない! 君をひとりにするのは忍びないという意味であって……! すまない、誤解を招く表現だったな」
「こちらこそ、おかしな反応しちゃってすみません……! 前に読んだ恋愛小説にそういうセリフがあった気がして! 本当にすみません、親切で言ってくれてるのに……」

 お互い挙動不審になりながら黙り込む。
 静まり返れば、速くなった鼓動が耳の中に響く。


 深呼吸して心臓を落ち着かせる。
 リリアナにトラブルが起きている今、恥ずかしがっている場合ではない。
 また誤解されるかもしれないなと思いながら問いかける。

「リリアナ。ずっとそこに座っているのでは疲れてしまうだろう。もしよければ……ベッドに移動しないか」
「あ、そうですね。そうさせてもらいますね」

 ファリエルがリリアナの手を取ろうとした矢先、素早く立ち上がったリリアナが迷いない足取りでベッドに向かい、ぽすっと腰を下ろした。さすがずっとここに住んでいるだけあって、家具の位置関係が身に沁みついているのだろう。

 ファリエルは、行き場をなくした手を下ろして苦笑すると、椅子から立ち上がった。
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