傷ついた王子は森の魔女に癒される
「痛み、引きましたか?」
「ああ……とても楽になった。ありがとう」
「ホントですか? 良かったです!」

 ぱっと笑顔に変わり、声を弾ませる。
 うれしそうなその顔は光り輝いていて、見ているだけで癒される気がした。
 にこにことしたリリアナが、早口で説明を始める。

「……でも実は、今のお薬はかなり効果を抑えたものでして。一気に傷がふさがるくらい強いものだと多分反動で寝込んじゃうと思うんです。なので、まずは一番弱いものを飲んでもらいました。経過を見て、少しずつ強くしていきましょう」
「そこまで考えてくれたのか。気遣いに感謝する」

 夢中でしゃべる様子にますます癒されながら、口元を微笑ませてみせる。笑ったのは久しぶりで、うまく顔を動かせなかった。
 ほんの数日で急激に衰えた自分に、すぐに暗い気持ちになってしまう。
 ため息をつき、そっとうつむく。
 痛みで力んでいた身体から力を抜いた途端、猛烈な眠気が込み上げてきた。


 尋ねたいことはまだたくさんあるのに。
 国は今どうなっているか。病床の御父上はご快復なさっただろうか。
 政治の才のない兄が、果たして革命派を御せるのか――。


「眠くなっちゃいましたか? ベッドで休んだ方が……」

 リリアナの声が遠ざかっていく。
 温かな声を聞きながら、ファリエルは眠りに落ちた。
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