傷ついた王子は森の魔女に癒される

2 処刑された理由

 まどろみの中で、激動の日々が繰り広げられていく。

 ――ファリエル様。わたくしは、お美しいファリエル様にふさわしくないのです……!

 きっかけは、婚約者のそんな嘆きだった。


 外見を褒めたたえられるのは、ファリエルの日常だった。
 銀白色の髪、淡紫色の瞳。類まれなる美しさ(・・・・・・・・)と絶賛される容姿。
 それは、婚約者のプレッシャーとなっていたようだった。
 彼女が泣くたびに、『君は君らしくあればいい』と慰めてきたつもりだった。

 それでも日に日に病んでいく彼女が、ある日、涙ながらに訴えてきた。
 
 ――ファリエル様。わたくし、どうしても魔女の秘薬(・・・・・)が欲しいのです……!
 ――絶大なる効果があると言われている秘薬で、美しくなりたい……!

 森の奥に潜み暮らすと言われている魔女。
 不吉だと、人々から忌み嫌われている存在。『関わったものは不幸になる』とまで言われている。
 王族である僕が魔女と会い、国民を不安がらせたくはない。
 返答を渋っていると、婚約者が泣き始めてしまった。

 ――ファリエル様に見合う美しさを手に入れるためならば、毒だって飲み干してみせます!
 ――ですからどうか、わたくしのわがままを聞いてはもらえませんか?
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