傷ついた王子は森の魔女に癒される
「では君が主人で、僕がお付きの騎士ってところだな」
「ええ!? そんな、おそれ多いです……!」
「でもその組み合わせにしないと、なぜ少年が女性騎士と共に行動しているんだろうと不思議がられてしまうと思う」
「なるほどそんな問題が……。分かりました、その設定で行きましょう!」
「では僕は、『ファラ』とでも名乗ろう」
「わ、素敵ですね! そしたら私はなんて名前にしておこうかな……。ファリエルさん、いえファラさん、よくすぐに名前を思いつけましたね。さすがです」
「元の名前を少し変えただけさ。リリアナは男性名にするなら、そうだな……『リオルド』でどうだろう」
「わあ……! とっても素敵です! 私、じゃなくてボク……はリオルド、ですね!」

 自分たちの設定が決まったところで、リリアナがてきぱきと出かける準備を進めていく。
 飲み物のボトルや、焼き菓子風の食料の入った袋を肩掛け鞄に詰め込んでいく。
 また髪を耳に掛ける仕草をして、自分の髪の短さに気づいて苦笑する。


 そんな可愛らしい様子を、ただ微笑ましく眺めていただけだったのに――。


 ふと、リリアナのうなじをまともに見てしまった。


 そのあまりの白さに、ファリエルは弾かれたように目を逸らした。


 顔が熱くなる。
 心臓が騒ぎ出す。
 華奢な首筋が、目に焼き付いている。

(なにを盗み見しているんだ僕は! 失礼だろう……!)
< 51 / 110 >

この作品をシェア

pagetop