傷ついた王子は森の魔女に癒される
 様々なことを思い巡らすうちに、リリアナとの距離ができてしまった。
 小走りであとを追い、今は少年の見た目になっているリリアナと並んで街道を歩く。
 辺りは一面なだらかな丘が続いていた。

 風に乗って運ばれてくる、乾いた草の匂い。
 澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込むと、心が落ち着いていく気がした。

 ごくたまに、馬車とすれ違った。
 なんの特徴もない幌馬車。
 乗っている人たちの顔は、ボナマハト王国の民とあまり変わらない。

 といっても王国周辺どころか周辺国も、見た目の特徴に差はない。
 つまりここは王国の近くか、もしくは隣国のどこかなのかもしれない。


 ファリエルが辺りを窺いながらあれこれ考えていると、リリアナがお辞儀をする動きで顔を覗き込んできた。

「たくさん歩かせちゃってすみません。疲れちゃいましたか?」
「いや、まったく。僕……わたくしはリオルド様の騎士ですので」
「あ、そっか、そうでした。ファラは強いな、さすがはボクの従者だ」

 と言って、「えへへ」と照れ笑いをする。
 演じる役の最終確認をしたところで、遠くに街が見えてきた。
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