傷ついた王子は森の魔女に癒される
16 魔女と見知らぬ街へ(後編)
密かに緊張しながら、街へと足を踏み入れる。
新参者が珍しくない場所なのか、誰一人として振り向きもしない。
その反応にほっとして、わずかに警戒心を解く。
今は長くなっている髪の陰から視線を巡らせる。
馬車が一台通れる程度の大通りが、ずっと先まで伸びている。
左右に並ぶ店はところどころが閉店していて、かつては賑わっていたことが窺える。
髪を払って改めて見回す。街並みに、まったく見覚えはなかった。
でも――。
店の看板のデザインだとか。
石畳の模様だとか。
露店で扱っている商品だとか。
『ボナマハト王国の文化とは違う』と、そう断言できるのに。
どことなく、自国の文化を思い起こさせられる。
そんな気がした。
(僕が意識しすぎてしまっているからだろうか)
冷静な判断が下せているか自信がなくなってくる。
でも行き交う人々のそばで、国名を出してリリアナに確認するわけにはいかない。
どこに追っ手が潜んでいるかわからないからだ。
街の人同士の、店先のやり取りを盗み見る。
すると、見たことのない硬貨が使われているのが見えた。
通貨は大陸共通だから、ここがボナマハト王国と陸続きのどこかであれば、当然同じものが使われているはずだ。
でも、海を隔てた先の国の硬貨とも違うと断言できる。
随分と遠くに来てしまっているようだ。
もし本当にそうだとしたら。
なぜ僕の身に、そんな不可解な現象が起きたのだろう?
新参者が珍しくない場所なのか、誰一人として振り向きもしない。
その反応にほっとして、わずかに警戒心を解く。
今は長くなっている髪の陰から視線を巡らせる。
馬車が一台通れる程度の大通りが、ずっと先まで伸びている。
左右に並ぶ店はところどころが閉店していて、かつては賑わっていたことが窺える。
髪を払って改めて見回す。街並みに、まったく見覚えはなかった。
でも――。
店の看板のデザインだとか。
石畳の模様だとか。
露店で扱っている商品だとか。
『ボナマハト王国の文化とは違う』と、そう断言できるのに。
どことなく、自国の文化を思い起こさせられる。
そんな気がした。
(僕が意識しすぎてしまっているからだろうか)
冷静な判断が下せているか自信がなくなってくる。
でも行き交う人々のそばで、国名を出してリリアナに確認するわけにはいかない。
どこに追っ手が潜んでいるかわからないからだ。
街の人同士の、店先のやり取りを盗み見る。
すると、見たことのない硬貨が使われているのが見えた。
通貨は大陸共通だから、ここがボナマハト王国と陸続きのどこかであれば、当然同じものが使われているはずだ。
でも、海を隔てた先の国の硬貨とも違うと断言できる。
随分と遠くに来てしまっているようだ。
もし本当にそうだとしたら。
なぜ僕の身に、そんな不可解な現象が起きたのだろう?