傷ついた王子は森の魔女に癒される
「まあ、あんたくらい美人だと魔物も放っておけなかったんだろうなあ。剣はしかたねえさ。逃げられてよかったな!」
「……ありがとう」

 鍛冶屋の主人はとても親切だった。
『あんたくらいの背丈ならこれくらいがいい』と、数本見繕ってくれた。
 その中から、軽さと丈夫さとのバランスが最も良いものを選んだら、『さすがお目が高い!』などと大げさに褒められてしまったのだった。



 無事に用事を済ませて、ほっとしながら帰路に就く。
 店主とやり取りしていたときの、リリアナのきらきらとした目。
 思い出すだけで、つい微笑んでしまう。

 ファリエルは、長い髪をなびかせながらリリアナと並んで森を歩き、来たときと同じくらいの時間をかけて魔女の家へと帰った。


    ***


 次の日の早朝。

 新品の剣を腰に携えて、リリアナに水と食料を渡されて。
 狩りの準備は整った。

 扉を開け放つ。家の外に、一歩踏み出す。
 見渡す限り広がる森。
 まずは魔物を見つけなくては――と思った瞬間。


 いきなり不安が湧いてきた。
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