傷ついた王子は森の魔女に癒される
20 忘れられない人(前編)
空中で静止したほうきに立つ少女が金切り声で叫ぶ。
「あんた、今すぐリリアナから離れなさい!」
彼女は僕を『あいつの弟』と呼んでいた。
つまり――。
「君はグンナールを知っているのか!?」
「その名を私の前で口にするな!」
鞭を振るうような動きで魔法の光を放ってくる。
ファリエルはとっさに立ち上がり剣を抜くと、目の前に来た光の弾を叩き斬った。
ふたつに分かれた弾が背後で炸裂する。爆風が頬をかすめていった。
剣を構え直して相手を見上げる。
――見下ろせる位置に立つ彼女の方が圧倒的に有利だ。
それでもリリアナをなんとしても守らなければ。
顔を引きつらせた少女が再び光の弾を放ってくる。今度は細かい球体がいくつも飛んできて、ファリエルは矢を落とす要領で魔法を弾き返した。
魔法の衝撃を必死にやり過ごす中、背後からリリアナの小声が聞こえてきた。
「コーデリアさんは、ボナマハト王国の第一王子と恋仲だったんです……」
コーデリアというのは、目の前で怒り狂っている魔女のことだろう。
ファリエルは懸命に剣を振るいながら、少女を見上げてつぶやいた。
「君は……僕の兄に、利用されてしまったのだな……」
異母兄グンナールはそういう人だった。
自分が王になるためならなんだってする。自分の手は汚すことなく。
あの男は、僕の婚約者と手を組んで僕を陥れるだけじゃなく。
魔女までをも騙したというのか――。
「あんた、今すぐリリアナから離れなさい!」
彼女は僕を『あいつの弟』と呼んでいた。
つまり――。
「君はグンナールを知っているのか!?」
「その名を私の前で口にするな!」
鞭を振るうような動きで魔法の光を放ってくる。
ファリエルはとっさに立ち上がり剣を抜くと、目の前に来た光の弾を叩き斬った。
ふたつに分かれた弾が背後で炸裂する。爆風が頬をかすめていった。
剣を構え直して相手を見上げる。
――見下ろせる位置に立つ彼女の方が圧倒的に有利だ。
それでもリリアナをなんとしても守らなければ。
顔を引きつらせた少女が再び光の弾を放ってくる。今度は細かい球体がいくつも飛んできて、ファリエルは矢を落とす要領で魔法を弾き返した。
魔法の衝撃を必死にやり過ごす中、背後からリリアナの小声が聞こえてきた。
「コーデリアさんは、ボナマハト王国の第一王子と恋仲だったんです……」
コーデリアというのは、目の前で怒り狂っている魔女のことだろう。
ファリエルは懸命に剣を振るいながら、少女を見上げてつぶやいた。
「君は……僕の兄に、利用されてしまったのだな……」
異母兄グンナールはそういう人だった。
自分が王になるためならなんだってする。自分の手は汚すことなく。
あの男は、僕の婚約者と手を組んで僕を陥れるだけじゃなく。
魔女までをも騙したというのか――。