傷ついた王子は森の魔女に癒される
どれだけ泣き続けていたかはわからない。手の中から顔を上げると、窓の外は夕暮れの色に染まっていた。鮮やかな赤が目と胸に刺さる。
いつの間にか精霊は消えていた。魔法陣もすっかりなくなっている。
不意に足音が聞こえてきた。音の方に視線をやると、そこにはコーデリアが立っていた。無表情でベッドに歩み寄ってきて、無言でコップ一杯の水を差し出す。
「……。ありがとう……」
予想外の気づかいに驚きながらコップを受け取る。
口を付けた途端、喉の渇きに気づいて一気に飲み干した。
サイドテーブルに空のコップを置き、ほっと息を吐き出す。
コーデリアはいつの間にか、椅子に腰を下ろして足を組んでいた。
頬杖を突き、視線はよそに向けている。
僕はまだ、死ぬわけにはいかない――。
これからコーデリアに言おうとしている言葉を思い浮かべれば、緊張感に心臓が早鐘を打ち始める。
ファリエルは一度深呼吸すると、少女の姿をした魔女の赤い瞳をまっすぐに見た。
「……貴女に伝えたいことがあるのだが」
「なによ」
すぐに振り向いたコーデリアが目つきを鋭くする。
冷酷な視線にますます身体がこわばる。
「……僕は、生きる理由を見つけた。僕は生涯、リリアナを想いながら生きていく。たとえ彼女に拒絶されても」
ファリエルは腹の底から息を吸うと、思いの丈を魔女にぶつけた。
「だから……貴女の腹いせに、この命を捧げるわけにはいかない」
いつの間にか精霊は消えていた。魔法陣もすっかりなくなっている。
不意に足音が聞こえてきた。音の方に視線をやると、そこにはコーデリアが立っていた。無表情でベッドに歩み寄ってきて、無言でコップ一杯の水を差し出す。
「……。ありがとう……」
予想外の気づかいに驚きながらコップを受け取る。
口を付けた途端、喉の渇きに気づいて一気に飲み干した。
サイドテーブルに空のコップを置き、ほっと息を吐き出す。
コーデリアはいつの間にか、椅子に腰を下ろして足を組んでいた。
頬杖を突き、視線はよそに向けている。
僕はまだ、死ぬわけにはいかない――。
これからコーデリアに言おうとしている言葉を思い浮かべれば、緊張感に心臓が早鐘を打ち始める。
ファリエルは一度深呼吸すると、少女の姿をした魔女の赤い瞳をまっすぐに見た。
「……貴女に伝えたいことがあるのだが」
「なによ」
すぐに振り向いたコーデリアが目つきを鋭くする。
冷酷な視線にますます身体がこわばる。
「……僕は、生きる理由を見つけた。僕は生涯、リリアナを想いながら生きていく。たとえ彼女に拒絶されても」
ファリエルは腹の底から息を吸うと、思いの丈を魔女にぶつけた。
「だから……貴女の腹いせに、この命を捧げるわけにはいかない」