キスしない約束の恋
第4話 壊したい理由
――なんで、こんなに。
落ち着かないんだろう。
放課後。
教室に残って、ひとりでノートを開いているのに。
全然、頭に入ってこない。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
びくっとする。
この声は。
「……湊」
顔を上げると。
いつもの、優しそうな笑顔。
「まだいたんだ」
「……はい」
「ちょうどいい」
一歩、近づく。
「話そ」
「……何を」
「蓮のこと」
心臓が、跳ねる。
「……別に」
「興味あるでしょ」
逃げ場がない。
「昔の蓮さ」
机に軽く寄りかかる。
「今よりもっとひどかったよ」
「……」
「誰でもよかったし」
「泣かせても気にしなかった」
淡々と語る。
「俺も一緒だったけど」
ふっと笑う。
「でも、あいつだけ変わった」
「……」
「つまんないよね」
その一言で。
空気が変わる。
「なんで」
思わず聞く。
「……何がですか」
「なんで変わるのが嫌なの」
一瞬、沈黙。
そして。
「壊れるから」
「……え」
「中途半端に変わるやつってさ」
目が、少しだけ冷たくなる。
「結局、全部壊れる」
「信じた分だけ、ね」
その言葉に。
背筋が、冷える。
「だから」
一歩、近づく。
「最初から壊した方がいい」
「……っ」
「その方が、楽でしょ?」
逃げたい。
でも。
足が動かない。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
「試してあげる」
手が、伸びる。
顎に触れられそうになった瞬間――
「触んな」
強い声。
振り向くと。
神崎――蓮。
「……来たんだ」
湊が、少し笑う。
「お前さ」
蓮が、一歩前に出る。
「何してんの」
「別に?」
「壊そうとしてただけ」
あっさり言う。
「……は?」
空気が、一気に張り詰める。
「だってさ」
「お前が変わるとか、無理じゃん」
「……」
「どうせ元に戻る」
「そのとき、この子どうなると思う?」
蓮の表情が、変わる。
「……黙れ」
「現実見ろよ」
「お前はそういう人間だろ」
「……っ」
拳が、握られる。
「だから俺が」
湊が、沙奈を見る。
「壊す前に壊してあげる」
「やめろ!!」
蓮の声が、響く。
一瞬。
静寂。
「……本気なんだ」
湊が、少しだけ目を細める。
「珍しい」
「でもさ」
にこっと笑う。
「それ、いつまで続くかな」
そのまま、背を向ける。
「楽しみにしてる」
去っていく。
静かになる教室。
「……大丈夫か」
蓮の声。
「……はい」
でも。
心は、揺れていた。
――壊れる。
その言葉が。
消えなかった。
落ち着かないんだろう。
放課後。
教室に残って、ひとりでノートを開いているのに。
全然、頭に入ってこない。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
びくっとする。
この声は。
「……湊」
顔を上げると。
いつもの、優しそうな笑顔。
「まだいたんだ」
「……はい」
「ちょうどいい」
一歩、近づく。
「話そ」
「……何を」
「蓮のこと」
心臓が、跳ねる。
「……別に」
「興味あるでしょ」
逃げ場がない。
「昔の蓮さ」
机に軽く寄りかかる。
「今よりもっとひどかったよ」
「……」
「誰でもよかったし」
「泣かせても気にしなかった」
淡々と語る。
「俺も一緒だったけど」
ふっと笑う。
「でも、あいつだけ変わった」
「……」
「つまんないよね」
その一言で。
空気が変わる。
「なんで」
思わず聞く。
「……何がですか」
「なんで変わるのが嫌なの」
一瞬、沈黙。
そして。
「壊れるから」
「……え」
「中途半端に変わるやつってさ」
目が、少しだけ冷たくなる。
「結局、全部壊れる」
「信じた分だけ、ね」
その言葉に。
背筋が、冷える。
「だから」
一歩、近づく。
「最初から壊した方がいい」
「……っ」
「その方が、楽でしょ?」
逃げたい。
でも。
足が動かない。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
「試してあげる」
手が、伸びる。
顎に触れられそうになった瞬間――
「触んな」
強い声。
振り向くと。
神崎――蓮。
「……来たんだ」
湊が、少し笑う。
「お前さ」
蓮が、一歩前に出る。
「何してんの」
「別に?」
「壊そうとしてただけ」
あっさり言う。
「……は?」
空気が、一気に張り詰める。
「だってさ」
「お前が変わるとか、無理じゃん」
「……」
「どうせ元に戻る」
「そのとき、この子どうなると思う?」
蓮の表情が、変わる。
「……黙れ」
「現実見ろよ」
「お前はそういう人間だろ」
「……っ」
拳が、握られる。
「だから俺が」
湊が、沙奈を見る。
「壊す前に壊してあげる」
「やめろ!!」
蓮の声が、響く。
一瞬。
静寂。
「……本気なんだ」
湊が、少しだけ目を細める。
「珍しい」
「でもさ」
にこっと笑う。
「それ、いつまで続くかな」
そのまま、背を向ける。
「楽しみにしてる」
去っていく。
静かになる教室。
「……大丈夫か」
蓮の声。
「……はい」
でも。
心は、揺れていた。
――壊れる。
その言葉が。
消えなかった。