キスしない約束の恋
第5話 壊れる前に
――壊れる。
その言葉が、ずっと頭から離れない。
朝。
教室に入る。
視線が集まる。
でも。
いつもみたいに、気にならない。
それよりも。
もっと、気になるものがある。
――神崎くん。
教室の後ろ。
いつもの場所。
でも。
目が合う前に、逸らした。
「……」
近づけない。
近づいたら。
信じてしまうから。
もし。
それが壊れたら。
きっと、前よりもっと苦しくなる。
――だから。
距離を取る。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
でも。
「……」
聞こえないふりをする。
「おい」
一歩、近づく音。
「なんで無視すんの」
振り向けない。
「……別に」
「別にじゃねぇだろ」
声が、少しだけ強くなる。
「……関わらないでください」
やっと、言う。
その瞬間。
空気が止まる。
「……は?」
「……」
「何それ」
信じられない、という顔。
「昨日まで普通だったじゃん」
「……無理です」
小さく言う。
「……何が」
答えられない。
でも。
「……怖いから」
それだけ。
「……俺が?」
「……はい」
その一言で。
蓮の表情が、変わる。
「……そっか」
小さく、呟く。
「……わかった」
それだけ言って。
それ以上、何も言わなかった。
――その距離が。
思ったよりも、遠く感じた。
放課後。
ひとりで帰ろうとすると。
「沙奈」
また、呼ばれる。
振り向くと。
湊。
「今日さ」
「……」
「送るよ」
「大丈夫です」
「遠慮しなくていい」
自然に、隣に並ぶ。
「……」
拒否できない。
「蓮と何かあった?」
「……別に」
「嘘」
すぐに見抜かれる。
「顔に出てる」
「……」
「怖いんでしょ」
その一言で。
足が止まる。
「……」
「大丈夫」
優しく言う。
「俺は壊さないから」
その言葉が。
すっと、心に入る。
「……」
安心する。
でも。
同時に。
違和感もあった。
「蓮はさ」
続ける。
「自分でもわかってないだけで」
「また戻るよ」
「……」
「そういう人だから」
静かに、言い切る。
「でも俺は違う」
少しだけ、笑う。
「最初から、壊さない」
その言葉に。
心が、揺れる。
――どっちが正しいのか。
わからない。
ただ。
ひとつだけ、確かなのは。
もう。
“どっちも関係ない”とは言えないってことだった。
――選ばないといけない。
そんな気がしていた。
その言葉が、ずっと頭から離れない。
朝。
教室に入る。
視線が集まる。
でも。
いつもみたいに、気にならない。
それよりも。
もっと、気になるものがある。
――神崎くん。
教室の後ろ。
いつもの場所。
でも。
目が合う前に、逸らした。
「……」
近づけない。
近づいたら。
信じてしまうから。
もし。
それが壊れたら。
きっと、前よりもっと苦しくなる。
――だから。
距離を取る。
「沙奈」
名前を呼ばれる。
でも。
「……」
聞こえないふりをする。
「おい」
一歩、近づく音。
「なんで無視すんの」
振り向けない。
「……別に」
「別にじゃねぇだろ」
声が、少しだけ強くなる。
「……関わらないでください」
やっと、言う。
その瞬間。
空気が止まる。
「……は?」
「……」
「何それ」
信じられない、という顔。
「昨日まで普通だったじゃん」
「……無理です」
小さく言う。
「……何が」
答えられない。
でも。
「……怖いから」
それだけ。
「……俺が?」
「……はい」
その一言で。
蓮の表情が、変わる。
「……そっか」
小さく、呟く。
「……わかった」
それだけ言って。
それ以上、何も言わなかった。
――その距離が。
思ったよりも、遠く感じた。
放課後。
ひとりで帰ろうとすると。
「沙奈」
また、呼ばれる。
振り向くと。
湊。
「今日さ」
「……」
「送るよ」
「大丈夫です」
「遠慮しなくていい」
自然に、隣に並ぶ。
「……」
拒否できない。
「蓮と何かあった?」
「……別に」
「嘘」
すぐに見抜かれる。
「顔に出てる」
「……」
「怖いんでしょ」
その一言で。
足が止まる。
「……」
「大丈夫」
優しく言う。
「俺は壊さないから」
その言葉が。
すっと、心に入る。
「……」
安心する。
でも。
同時に。
違和感もあった。
「蓮はさ」
続ける。
「自分でもわかってないだけで」
「また戻るよ」
「……」
「そういう人だから」
静かに、言い切る。
「でも俺は違う」
少しだけ、笑う。
「最初から、壊さない」
その言葉に。
心が、揺れる。
――どっちが正しいのか。
わからない。
ただ。
ひとつだけ、確かなのは。
もう。
“どっちも関係ない”とは言えないってことだった。
――選ばないといけない。
そんな気がしていた。