かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
「ねえ、お父さま……おさらをなおすおまじないって、ある?」
こそっとミュシカはささやいた。真剣な顔だ。
「そういうのは、ない。きちんと謝ったからそれでいいんだ」
「ないのかあ」
とても残念そうにする。
ミュシカは自分の力で解決したかったのだ。お金を払うことはミュシカにはできないけれど、おまじないならできるかもしれないと思った。無理だとは残念だが、このダニールの回答はマルーシャも意外だった。
「怪我は治せるのに、お皿は無理なんですね」
「怪我は、生きているものの力を引き出して治します。お皿は元は土かもしれませんが、人の手が加わりすぎていて妖精の呼びかけには応えてくれないんですよ」
「ああ、自然の力がおよばないってことですね」
ダニールを見ているとおまじないでなんでもできそうな気がしてくるのだが、そこには理屈がちゃんとあるのだった。
自然とつながる、それが妖精。最初に言われたことを思い出した。
マルーシャは妖精として目覚めたばかり。自然と、この世界と、仲良くつながれているといいなと思った。
✻
「――あ」
マルーシャが洗濯物を抱えて部屋を出たところで、ダニールにばったり会った。
廊下の向こうから戻ってくるダニールは上着を脱ぎシャツの襟をゆるめた楽な格好で、いつものカッチリした雰囲気とは少し違う。家でくつろぐのをのぞき見した気分になったマルーシャは、照れてしまって視線を下に向けた。そして思い出した。
マルーシャが雨に濡れていた時のダニールは、もっと気まずかったろう。本当にごめんなさい。
こそっとミュシカはささやいた。真剣な顔だ。
「そういうのは、ない。きちんと謝ったからそれでいいんだ」
「ないのかあ」
とても残念そうにする。
ミュシカは自分の力で解決したかったのだ。お金を払うことはミュシカにはできないけれど、おまじないならできるかもしれないと思った。無理だとは残念だが、このダニールの回答はマルーシャも意外だった。
「怪我は治せるのに、お皿は無理なんですね」
「怪我は、生きているものの力を引き出して治します。お皿は元は土かもしれませんが、人の手が加わりすぎていて妖精の呼びかけには応えてくれないんですよ」
「ああ、自然の力がおよばないってことですね」
ダニールを見ているとおまじないでなんでもできそうな気がしてくるのだが、そこには理屈がちゃんとあるのだった。
自然とつながる、それが妖精。最初に言われたことを思い出した。
マルーシャは妖精として目覚めたばかり。自然と、この世界と、仲良くつながれているといいなと思った。
✻
「――あ」
マルーシャが洗濯物を抱えて部屋を出たところで、ダニールにばったり会った。
廊下の向こうから戻ってくるダニールは上着を脱ぎシャツの襟をゆるめた楽な格好で、いつものカッチリした雰囲気とは少し違う。家でくつろぐのをのぞき見した気分になったマルーシャは、照れてしまって視線を下に向けた。そして思い出した。
マルーシャが雨に濡れていた時のダニールは、もっと気まずかったろう。本当にごめんなさい。