悪魔くんの天使ちゃん
◼︎◼︎◼︎
幼い頃、俺はよくいじめられた。

いじめられやすい子供だった。

背が低くて、女顔で、両親がいない。おまけに沈んだ性格。

十分すぎる理由があったのだ。

「お前、ほんと変なやつだよな」
「女なんじゃねえの?」
「親死んだんでしょ?よく引き取ってもらえたね」

このくらいの悪口なら、耐えた。俺を見ながらするヒソヒソ話も、嘲笑も、軽い嫌がらせも、耐えた。

けれど、中1の時、

「お前んとこの人、そんな金持ってないんでしょ?杏耶の親の遺産目当てだったんじゃねえの」

これだけは許せなかった。

「都子さんたちのこと悪くいうな!!」

普段は言い返さない俺の大声に、いつもの奴らは驚いた。

後悔しても、遅かった。

「はっ?何、杏耶のくせに。」

胸ぐらを掴まれ、壁に押し付けられる。

負けじと睨み返すと、バカにするように笑われた。



「なあ、お前、絶対大事に思われてないよ。ミヤコサンたちに」

心臓が冷えた。

「だって本当の親子じゃねえもん。大人ってのはな」

言いながら、俺を押さえつける奴は拳を振りかぶった。

「所詮、自分の子以外は可愛くねえもんなんだよ!」

頬を殴られた。

痛い。口の中が切れて、微かに血の味が広がった。

周囲の女子が悲鳴を上げる。

「先生呼ぶなよ」

すかさず奴らは傍観者たちを睨み、牽制した。
< 10 / 15 >

この作品をシェア

pagetop