悪魔くんの天使ちゃん
どくどく鳴る心臓。
いや、出禁でもまだいい方だ。もし椿さんまで巻き込んで停学処分にでもなったらーーーっ。
「若いってのはいいですねぇ。」
先生は間の抜けた声をだし、部屋の隅の椅子にどかりと座った。
「君はともかく、美原さんにその気は無かったのでしょう。さっきのを見ればわかります。」
「木下先生、」
「誰にも言いませんよ」
けどもう少し自制を覚えましょうね、と先生は苦笑した。
どっと肩の力が抜けた。
「すみませんでした。気をつけます」
いいえ。と先生は笑って、空気を切り替えるように両手を打った。
「さて、清水くん。ここには私が今日中に片さなければならない書類がどっさりあります」
え、と間の抜けた声が出た。
「手伝ってくれるでしょう?」
これでもかというほどに爽やかな笑顔を浮かべる先生に、顔が引き攣る。
この状況で断れるわけがない。
ーーこの、クソジジイ!
「もちろんです」
俺は無理やり笑顔を作って頷いた。
結局椿さんと過ごそうと思っていた昼休みは、保健室の雑用(ブラック)に終わった。