悪魔くんの天使ちゃん
「僕は…っ。僕と“今の親“は確かに血が繋がってない。けどっ、けど家族なんだよ!!最初に二人がそう言ってくれたから、だから僕は、」

「あーあー、はいはい。そっすか。もう聴くの飽きたわ」

奴らはつまらなさそうに頭をがしがし掻いた。


「ねー、もうそろそろボコしていーい?」

ギャハハハ、と下品な笑い声が響く。


言葉が通じない。

目の前が真っ暗になる。

どうしよう。

どうしようどうしよう。

頭の中で危険信号が鳴る。

たとえこの場を切り抜けたって、これからの日々はきっと今まで以上に地獄だ。

嫌がらせに暴力が加わるのは流石にきつい。

殴られたあたまがくらくらした。

じゃあ、ここで戦う?

だって、そもそも切り抜け方がわからない。

でも、絶対に勝てない。絶対に負けるーーーー


けど、


ここで負けたら


それはこいつらの主張を認めるということだ。



そ ん な の あ り え な い


「…離せ」

「は?」

「離せよ!!」





結果的にいうと、俺は勝った。


無我夢中に抵抗して、思いっきり殴って、蹴って、避けて。

小柄な自分が同級生の男子数人に勝てたことが不思議だった。

全身ボロボロになって手に入れた勝利は思っていたよりもダサくて汚くて、虚しかった。



血まみれの自分と相手を見て、なんだか泣きたくなった。



俺はその日、反撃という手段を覚えてしまったのだ。
< 12 / 15 >

この作品をシェア

pagetop