嘘つきな患者と、私の先生。

翌日

翌日


「ねぇ、紗良」



「なに」

机に突っ伏したまま返す。


「紗良でしょ、如月先生に連絡したの」


「だって菜月、絶対行かないじゃん」



「だからって勝手に言う?」
「しかもなんで連絡先知ってるの?」



「ごめんって〜!」
「如月先生から菜月がもしなんかあった時のためにって」



「ほんと最悪」



「で、ちゃんと診てもらった?」



「……まあ」



「なにその反応」
「絶対なんかあったじゃん」


身を乗り出してくる。



「ない」



「嘘」



「ほんと」



「じゃあなんで連絡先知ってるの」



「……」

止まる。



「交換したの?」



「……まあ」



「えーーー!!」



「うるさい」



「なにそれなにそれ!」



「別に普通だし」



「普通じゃないでしょ!」



「普通」



「絶対向こうからでしょ」



「……」

少しだけ黙る。



「ねぇ図星?」



「……違うし」



「顔に出てる」



「出てない」



「出てる」



「……うるさい」



友達がニヤニヤしながら覗き込む。



「で、優しかった?」



「……普通」



「絶対優しかったじゃん」



「普通だってば」



「送ってもらった?」



「……」

また止まる。



「え、送ってもらったの?!」



「……うるさい」



「なにそれもうそれじゃん!」



「それってなに」



「いい感じのやつ!」



「違うし」



「いや絶対違わない」



「違うってば」



「顔赤いよ?」



「赤くない」



「赤いって」



「……気のせい」

目を逸らす。



「ねぇ、その人のことどう思ってるの」



「別に」



「ほんとに?」



「ほんと」



少し沈黙。



「……でも」



「なに」



「ちょっと気になってるでしょ」



「……」



言い返そうとして、

言葉が出ない。



「ほら」



「……気のせい」



「気のせいじゃないって〜」



「違うし」



でも。



(……気になるとかじゃないし)



そう思うのに。



昨日のLINEとか、

距離とか、

言葉とか。



少しだけ、頭に残ってる。



「ねぇまた会うの?」



「会わない」



「ほんとに?」



「ほんと」



「絶対会うじゃん」



「会わない」



「賭ける?」



「やだ」



「会うよ絶対」



「会わないってば」



言い切る。



なのに。



なぜか——



少しだけ、確信が持てない。



(……会わないし)



そう思いながら、

スマホをちらっと見る。



通知は、来てない。



なのに。



「……」



なんでか、少しだけ気になる。
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