藤木部長にロックオン〜あの子のハートビームから逃げられない〜
ちょっと可愛くないか?
しばらくすると、片瀬くるみが「部長!」と珍しく弾んだ声を上げる。

「どうした?」
「文具フェスタのホームページが更新されています。スタンプラリーで景品プレゼントって」
「ほんとか?」

思わず片瀬くるみのパソコンを覗き込んだ。

「ほら、ここ」
「ほんとだ。『ご好評につき急遽企画!』だって」
「はい。SNSでもちょっとだけ話題になってます。『このボトル可愛い! 早めに行ってゲットしよう』って。よかったですね」

目を細めてにっこり笑いかけられ、俺はドキッとする。

こんな片瀬くるみは初めてだった。

「なんとしても無事に届けないと。業者さんの進捗は、メールの様子でも順調そうですが」
「土曜日なのにやり取りしてるのか?」
「はい、気になってしまって。あちらは年中無休なので、ご迷惑にはなってないと思うのですが」
「君のプライベートは? もっと休日を大切にしなさい」
「ありがとうございます。文具フェスタを見届けたら、少しのんびりできるかなと。でも金曜日の納品は、なんとしても出勤しますね」

ええ?と俺は指折り数える。

「だめだ。金曜日はちょうど1週間目だろう? まだ無理しないで休んでいなさい」
「でも自分で最終チェックしてから、責任持って納品したくて」
「そこは俺がきちんと引き受ける。約束するから」

片瀬くるみは納得いかないように、唇を尖らせてむくれた。

そんな表情も初めて見る。

「わかったよ」

俺はお手上げとばかりに頬を緩めた。

「会社に納品されたら、俺が自分の車でフォーラムに届ける。その途中で君を拾うから、一緒にフォーラムに行くか?」

片瀬くるみは、パッと顔を輝かせた。

「はい! お願いします」
「よし。それなら金曜まではおとなしく安静にしてるんだぞ?」
「わかりました」
「素直でよろしい。さてと、昼飯にするか。何がいい?」
「何でも食べます」
「ははっ、急にいい子になったな」

俺は笑いながらパスタを用意した。
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