藤木部長にロックオン〜あの子のハートビームから逃げられない〜
帰り道では、コーヒーショップのドライブスルーでスイーツとドリンクを買う。
マンションに着いて俺に抱き上げられながら、胸に大事そうに紙袋を抱える片瀬くるみに、俺はクスッと笑みをこぼした。
「え? なんですか?」
「いや、嬉しそうだなーと思って。甘いもの好きなのか?」
すると片瀬くるみは、うつむいて口ごもる。
「どうした?」
「はい、あの。本当は好きなんですけど、敢えてブラックコーヒーを飲むようにしていて」
「それはなぜ?」
「えっと、大人っぽくてクールな女性じゃないと、釣り合わないと思って……」
それは、片想いの相手のことだろうか。
そう考えると、俺は段々腹が立ってきた。
(ここまで彼女に無理をさせる相手とは、どんなやつだ? 告白さえ許さない雰囲気なのか? 本来の彼女らしさを封じ込めて何年も片想いさせるなんて、ロクなやつじゃないな。許すまじ、どっかのはると)
部屋に上がるとソファに下ろしてから、俺は片瀬くるみの前にひざまずいた。
「いいか? 君は君のままでいろ。そんなやつ……、そのような人に合わせる必要はない」
「でも……私は彼にふさわしくありたいんです。ここまで私を導いてくれたのは、彼だから」
「ふさわしいってなんだ? ブラックコーヒーしか飲むなって言われたのか?」
「まさか! そんなことを言う人ではないです」
「それならありのままでいろ。大丈夫、君は君自身で誰よりも魅力的な女性だ。自信を持て」
わかったか?と頭に手を置くと、片瀬くるみはコクンと小さく頷いた。
「よし。じゃあ甘いドリンク飲んで待ってろ。すぐ夕飯の支度するから」
そう言って立ち上がると、ツンとシャツの裾を引っ張られる。
「ん? どうした」
「あの、私もお料理手伝っていいですか? カウンターチェアに座ってやりますから」
「いや、無理するな」
「無理じゃないです。それに今、部長に言われたから。ありのままでいろって。私、いつもお手伝いしたかったけど、言い出せなかったんです」
小さくそう話す片瀬くるみをまじまじと見つめてから、俺は頬を緩めた。
「そうか、わかった。手伝ってくれると助かる。俺、料理は全然できないから」
「はい、この2日間で察しました」
「うぐっ、バレてたか」
「でも私の為にって、嬉しかったです。部長、ものすごく危なっかしい手つきで、一生懸命包丁使ってて」
「恥ずかしいだろ! その時に言ってくれ」
ふふっと飾らない笑顔で俺を見上げる片瀬くるみに、俺は知らず知らずのうちに見とれていた。
マンションに着いて俺に抱き上げられながら、胸に大事そうに紙袋を抱える片瀬くるみに、俺はクスッと笑みをこぼした。
「え? なんですか?」
「いや、嬉しそうだなーと思って。甘いもの好きなのか?」
すると片瀬くるみは、うつむいて口ごもる。
「どうした?」
「はい、あの。本当は好きなんですけど、敢えてブラックコーヒーを飲むようにしていて」
「それはなぜ?」
「えっと、大人っぽくてクールな女性じゃないと、釣り合わないと思って……」
それは、片想いの相手のことだろうか。
そう考えると、俺は段々腹が立ってきた。
(ここまで彼女に無理をさせる相手とは、どんなやつだ? 告白さえ許さない雰囲気なのか? 本来の彼女らしさを封じ込めて何年も片想いさせるなんて、ロクなやつじゃないな。許すまじ、どっかのはると)
部屋に上がるとソファに下ろしてから、俺は片瀬くるみの前にひざまずいた。
「いいか? 君は君のままでいろ。そんなやつ……、そのような人に合わせる必要はない」
「でも……私は彼にふさわしくありたいんです。ここまで私を導いてくれたのは、彼だから」
「ふさわしいってなんだ? ブラックコーヒーしか飲むなって言われたのか?」
「まさか! そんなことを言う人ではないです」
「それならありのままでいろ。大丈夫、君は君自身で誰よりも魅力的な女性だ。自信を持て」
わかったか?と頭に手を置くと、片瀬くるみはコクンと小さく頷いた。
「よし。じゃあ甘いドリンク飲んで待ってろ。すぐ夕飯の支度するから」
そう言って立ち上がると、ツンとシャツの裾を引っ張られる。
「ん? どうした」
「あの、私もお料理手伝っていいですか? カウンターチェアに座ってやりますから」
「いや、無理するな」
「無理じゃないです。それに今、部長に言われたから。ありのままでいろって。私、いつもお手伝いしたかったけど、言い出せなかったんです」
小さくそう話す片瀬くるみをまじまじと見つめてから、俺は頬を緩めた。
「そうか、わかった。手伝ってくれると助かる。俺、料理は全然できないから」
「はい、この2日間で察しました」
「うぐっ、バレてたか」
「でも私の為にって、嬉しかったです。部長、ものすごく危なっかしい手つきで、一生懸命包丁使ってて」
「恥ずかしいだろ! その時に言ってくれ」
ふふっと飾らない笑顔で俺を見上げる片瀬くるみに、俺は知らず知らずのうちに見とれていた。