藤木部長にロックオン〜あの子のハートビームから逃げられない〜
その日の夜。
夕飯を食べてそろそろシャワーを浴びようかと思っていると、スマホにメッセージが届いた。

(えっ、藤木部長?)

私は急いでメッセージを開く。

【お疲れ様。文具フェスタ、いつ行く予定? もし明日だったら、俺もつき添う】

それだけの文章なのに、胸がドキドキして顔が赤くなるのがわかった。

(えっと、返事を書かなきゃ。文具フェスタは土曜日から水曜日までの5日間だから、行けるとしたら明日の日曜しかないなと思ってたって)

気持ちを落ち着けながら、まずはそのことだけを伝える。
するとすぐに返事が届いた。

【わかった。それなら俺が車で送迎する。明日の朝、9時半に社宅に迎えに行くから】

ひゃー!と声にならない声を上げるが、これはもう決定事項として、とにかく返事をしなくては。

【承知しました。よろしくお願いいたします】
【ああ。くれぐれもケガには気をつけて。おやすみ、また明日】

おやすみ、また明日……
おやすみ、また明日……

(なんて余韻の残る言葉なの。漫画で読んだら、サラッと流しそうなのに。実際にはこんなにもパワーワードなのね)

うっとりしながら、私も文字を打つ。

【おやすみなさい、また明日】

ポチッと送信してから、胸にスマホを抱えて悶絶した。

「すっごい! 何これ、ときめきホルモン放出用語?」

漫画よりも威力のあるその言葉に、私はしばらくポーッと夢見心地だった。
< 56 / 85 >

この作品をシェア

pagetop