藤木部長にロックオン〜あの子のハートビームから逃げられない〜
葛原くんの告白
「おはようございます、部長。お待たせしました」

タタッと足音がして、車の横に佇んでいた俺は顔を上げる。

「おはよう。こら、走るな……」

そこまで言って、思わず目を見開いた。

(か、か、片瀬くるみか? 本当に、あの?)

隙のないシゴデキ女子が、いきなりデートモードの可愛い女の子に変身して、笑顔で駆け寄って来る。

俺の中の何かのメーターが、ギュイーン!!とMAXになった。

「今日はわざわざすみません。私の為におつき合いくださって」
「いや、そんなことはない。俺も君とつき合えて嬉しいから」

何か言葉のチョイスが変な気もするが、もうそれどころではない。

俺は必死にポーカーフェイスを取り繕い、どうぞと助手席のドアを開けた。

「ありがとうございます」

なんだその、にこって笑顔は。
可愛いじゃないか!
唇もぷっくりツヤツヤ、頬もほんのりピンクで、スカートもふんわり。
可愛すぎるじゃないか!

「ドア閉めるぞ、気をつけて」
「はい」

パタンとドアを閉めてから、とにかく一旦深呼吸する。

藤木遥斗、31歳。
彼女いない歴は、そろそろ1年。

急にやって来た、可愛い彼女とのデート。
いや、何を言っている。
落ち着け、落ち着くんだ。

スーハーと深呼吸を繰り返してから、よし、と気合いを入れて運転席に乗り込んだ。
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