藤木部長にロックオン〜あの子のハートビームから逃げられない〜
初めて好きになった人
「こことここと、あと、ここも見ていいですか?」
休憩スペースで向かい合って座り、片瀬くるみはテーブルにマップを広げて俺に尋ねる。
「ああ、もちろん」
返事をしつつ、俺は狐につままれたような気がしていた。
(なぜ葛原くんの告白を断ったんだ? もしかして、俺が相手に無理に合わせようとするなと言ったから? それで彼女は、葛原くんへの気持ちが冷めたのだろうか)
だとしたら、責任重大だ。
(葛原くんも、なぜすんなり諦めた? いや、今日のところは一旦引き下がっただけで、また日を改めて告白し直すのだろう。うん、そうに違いない)
それならその時までに、片瀬くるみの気持ちをもう一度葛原くんに向けなければ。
だが、どうやって?
うつむいて考え込んでいると、「部長?」と心配そうに顔を覗き込まれた。
「もしかして、お疲れですか? でしたら、もうここで」
「いや、そういう訳じゃない」
首を振って否定してから、俺は意を決して顔を上げた。
「聞いてもいいか?」
「はい、何でしょう」
「どうして葛原くんへの気持ちが冷めたんだ? もしかして、俺が余計なことを言ったからか? だとしたら、俺は心から君たちに謝る。申し訳なかった」 「は? え? あの、部長、何のお話ですか?」
「以前君は、無意識に葛原くんの名前を呼んで、大好きと呟いていたんだ。だから俺は、君の葛原くんへの気持ちを知っていた。黙っていてごめん。でも、だからこそ二人には……」
ちょっと待ってください、と片瀬くるみは慌てて俺の言葉を遮る。
「私が葛原さんの名前を呼んだのですか?」
「そう。はるとって」
「はると!? 葛原さん、はるとってお名前なんですか?」
今度は俺が、ええ!?と驚いた。
「知らなかったのか? じゃあ、はるとって一体……」
何が何だか、俺はさっぱりわからなくなる。
片瀬くるみはじっと何かを考えてから、俺と視線を合わせた。
「部長。今日この文具フェスタから帰ったら、少しお話しさせていただけませんか?」
「え? ああ、もちろん」
「ありがとうございます。それまでは、ただこの時間を楽しみたいです。その間に自分の気持ちを確かめますね」
わかった、と答えようとして、いや、わからん!と言いたくなる。
だがここは言われた通りにしよう。
純粋に今この時間を、心のままに二人で楽しもう。
考えるのはそのあとだ。
俺は美味しそうにカフェオレを飲む片瀬くるみを見つめながら、自分にそう言い聞かせた。
休憩スペースで向かい合って座り、片瀬くるみはテーブルにマップを広げて俺に尋ねる。
「ああ、もちろん」
返事をしつつ、俺は狐につままれたような気がしていた。
(なぜ葛原くんの告白を断ったんだ? もしかして、俺が相手に無理に合わせようとするなと言ったから? それで彼女は、葛原くんへの気持ちが冷めたのだろうか)
だとしたら、責任重大だ。
(葛原くんも、なぜすんなり諦めた? いや、今日のところは一旦引き下がっただけで、また日を改めて告白し直すのだろう。うん、そうに違いない)
それならその時までに、片瀬くるみの気持ちをもう一度葛原くんに向けなければ。
だが、どうやって?
うつむいて考え込んでいると、「部長?」と心配そうに顔を覗き込まれた。
「もしかして、お疲れですか? でしたら、もうここで」
「いや、そういう訳じゃない」
首を振って否定してから、俺は意を決して顔を上げた。
「聞いてもいいか?」
「はい、何でしょう」
「どうして葛原くんへの気持ちが冷めたんだ? もしかして、俺が余計なことを言ったからか? だとしたら、俺は心から君たちに謝る。申し訳なかった」 「は? え? あの、部長、何のお話ですか?」
「以前君は、無意識に葛原くんの名前を呼んで、大好きと呟いていたんだ。だから俺は、君の葛原くんへの気持ちを知っていた。黙っていてごめん。でも、だからこそ二人には……」
ちょっと待ってください、と片瀬くるみは慌てて俺の言葉を遮る。
「私が葛原さんの名前を呼んだのですか?」
「そう。はるとって」
「はると!? 葛原さん、はるとってお名前なんですか?」
今度は俺が、ええ!?と驚いた。
「知らなかったのか? じゃあ、はるとって一体……」
何が何だか、俺はさっぱりわからなくなる。
片瀬くるみはじっと何かを考えてから、俺と視線を合わせた。
「部長。今日この文具フェスタから帰ったら、少しお話しさせていただけませんか?」
「え? ああ、もちろん」
「ありがとうございます。それまでは、ただこの時間を楽しみたいです。その間に自分の気持ちを確かめますね」
わかった、と答えようとして、いや、わからん!と言いたくなる。
だがここは言われた通りにしよう。
純粋に今この時間を、心のままに二人で楽しもう。
考えるのはそのあとだ。
俺は美味しそうにカフェオレを飲む片瀬くるみを見つめながら、自分にそう言い聞かせた。