藤木部長にロックオン〜あの子のハートビームから逃げられない〜
「藤木部長。少しよろしいですか?」

デスクに戻り、なんとか気持ちを切り替えて仕事をしていると、赤石千夏がやって来た。

俺はハッとする。

(片瀬くるみは一緒か? いないな? よし)

赤石千夏の背後を確認してから、俺はゆったりと余裕ぶって顔を上げた。

「ああ。どうした?」
「はい。次の金曜日、部署のみんなで暑気払いをやるのですが、部長にもご参加いただけませんか? 部長の歓迎会も兼ねているので」
「飲み会か。この部署は普段から頻繁に集まるのか?」

最近では、飲み会に誘うことがパワハラに当たるのでは?という説もあり、社員で集まる機会がすっかり減っていた。

「私たちの部署は、比較的若いメンバーが飲み会好きなんです。なので、部下が上司を誘うスタイルで、よく集まっています。居酒屋ではなく、オシャレなレストランを貸し切りにすることが多いですね」
「へえ、そうなのか。時代の変化だな」
「もちろん逆パワハラにならないよう、上司の方を無理にお誘いするつもりはありません。飲み会は苦手だとおっしゃる方へは、以降お誘いも控えておりますので」

なるほど、よくできた部下だ。

「では俺は参加させてもらいたいのだが、いいかな?」
「はい、もちろんです。ありがとうございます。日時や場所は後ほどメールでお知らせいたします。それでは」
「ああ、よろしく」

その後、早速赤石千夏からメールが届く。

今週の金曜日、19時から。
場所はこのオフィスから徒歩5分の、フュージョンキュイジーヌのお店とあった。

(フュージョン、キュイジーヌ……。なんだかすごそうだな。宇宙食でも出て来るのか?)

そっちに気を取られて、俺は忘れていた。

そう、そこに片瀬くるみが現れるのかどうかを。
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