藤木部長にロックオン〜あの子のハートビームから逃げられない〜
「あ、藤木部長! お疲れ様です」
貸し切りの店内に入ると、赤石千夏が立ち上がって手招きした。
「悪い、遅くなった」
「いいえー。こちらのお席にどうぞ。みなさーん、本日の主役がいらっしゃいました!」
既にワインを飲んで盛り上がっている様子のメンバーが、イエーイ!とグラスを掲げる。
「では藤木部長を歓迎いたしまして、かんぱーい!」
「かんぱーい! ようこそグラフィックデザイン部へ」
渡された赤ワインのグラスを手に、俺も皆の乾杯に「ありがとう」と応えていく。
順番に視線を移していき、ハッとした。
(あそこに見えるは、片瀬くるみ)
なんとなく飲み会には参加しそうにない気がしていた。
大勢でワイワイ飲むのは苦手だわ。行きつけのバーで一人静かにお酒を味わいたいの、ファサッ……ってイメージだったのに。
今も、俺にグラスを掲げるでもなく、一人クールにワインを味わっている。
「藤木部長! お隣いいですかー?」
「私たち、藤木部長に色々聞いてみたくて」
「ねー? この日を楽しみにしてたんです」
「まずは、お料理をどうぞ」
ほろ酔いの女の子たちが、俺の周りを取り囲む。
こういうのには慣れている。
「ありがとう、いただくよ」
美しく盛り付けられた料理は、どこの国のなんて名前のものかはわからないが、食べてみると美味しかった。
「うん、うまいな」
「ほんとですかー? よかった。まだまだありますからね。あっ、ワインもどうぞ」
「ありがとう」
明るくはしゃぐ女の子たちに囲まれつつ、俺は次々と目の前に並べられる料理を味わう。
が、ふと視線を上げると、物憂げな表情でグラスを揺らしている片瀬くるみの横顔が目に入った。
同じ空間にいるのに一人だけ違う空気をまとい、大人びているのに寂しそうにも見える。
吸い寄せられるように、俺は片瀬くるみから目が離せなくなった。
こういうのには慣れていない。
「藤木部長って、今恋人はいるんですかー?」
ぼんやりしていた俺は、前のめりな女子たちの質問にあっさり「いや、いない」と答えてしまった。
「うっそー! これはチャンス!」
「じゃあ、どういう女性がタイプですか?」
こういうのには慣れている。
俺はにこやかに「好きになった相手がタイプかな」と返した。
だがどうしてもまた、片瀬くるみに目が行ってしまう。
(まだ25歳だろ。今、俺の周りにいる女の子たちより年下なのに、なぜあんなにも大人の余裕を醸し出している?)
すぐ近くで若い男性社員が盛り上がってはしゃいでいるが、それすらも視界に入っていないようだった。
(え、座敷わらしじゃないよな? 俺にしか見えてないなんてことは……)
すると赤石千夏がグラスを手に、片瀬くるみの向かいの席に座って声をかけた。
ようやく片瀬くるみも笑顔になり、楽しそうにおしゃべりを始める。
(よかった、人だった)
座敷わらしではなかったことにホッとして、俺はまた女子に揉まれつつ食事に戻った。
貸し切りの店内に入ると、赤石千夏が立ち上がって手招きした。
「悪い、遅くなった」
「いいえー。こちらのお席にどうぞ。みなさーん、本日の主役がいらっしゃいました!」
既にワインを飲んで盛り上がっている様子のメンバーが、イエーイ!とグラスを掲げる。
「では藤木部長を歓迎いたしまして、かんぱーい!」
「かんぱーい! ようこそグラフィックデザイン部へ」
渡された赤ワインのグラスを手に、俺も皆の乾杯に「ありがとう」と応えていく。
順番に視線を移していき、ハッとした。
(あそこに見えるは、片瀬くるみ)
なんとなく飲み会には参加しそうにない気がしていた。
大勢でワイワイ飲むのは苦手だわ。行きつけのバーで一人静かにお酒を味わいたいの、ファサッ……ってイメージだったのに。
今も、俺にグラスを掲げるでもなく、一人クールにワインを味わっている。
「藤木部長! お隣いいですかー?」
「私たち、藤木部長に色々聞いてみたくて」
「ねー? この日を楽しみにしてたんです」
「まずは、お料理をどうぞ」
ほろ酔いの女の子たちが、俺の周りを取り囲む。
こういうのには慣れている。
「ありがとう、いただくよ」
美しく盛り付けられた料理は、どこの国のなんて名前のものかはわからないが、食べてみると美味しかった。
「うん、うまいな」
「ほんとですかー? よかった。まだまだありますからね。あっ、ワインもどうぞ」
「ありがとう」
明るくはしゃぐ女の子たちに囲まれつつ、俺は次々と目の前に並べられる料理を味わう。
が、ふと視線を上げると、物憂げな表情でグラスを揺らしている片瀬くるみの横顔が目に入った。
同じ空間にいるのに一人だけ違う空気をまとい、大人びているのに寂しそうにも見える。
吸い寄せられるように、俺は片瀬くるみから目が離せなくなった。
こういうのには慣れていない。
「藤木部長って、今恋人はいるんですかー?」
ぼんやりしていた俺は、前のめりな女子たちの質問にあっさり「いや、いない」と答えてしまった。
「うっそー! これはチャンス!」
「じゃあ、どういう女性がタイプですか?」
こういうのには慣れている。
俺はにこやかに「好きになった相手がタイプかな」と返した。
だがどうしてもまた、片瀬くるみに目が行ってしまう。
(まだ25歳だろ。今、俺の周りにいる女の子たちより年下なのに、なぜあんなにも大人の余裕を醸し出している?)
すぐ近くで若い男性社員が盛り上がってはしゃいでいるが、それすらも視界に入っていないようだった。
(え、座敷わらしじゃないよな? 俺にしか見えてないなんてことは……)
すると赤石千夏がグラスを手に、片瀬くるみの向かいの席に座って声をかけた。
ようやく片瀬くるみも笑顔になり、楽しそうにおしゃべりを始める。
(よかった、人だった)
座敷わらしではなかったことにホッとして、俺はまた女子に揉まれつつ食事に戻った。