裏切りの先で、あなたに出会った
――間違いない。
「……たっくん」
その呼び方。
その声。
そして――
「……優衣」
優しく名前を呼ぶ声。
――私の夫、三澄琢馬の声だった。
息が、うまくできない。
頭の中が真っ白になるのに、耳だけはやけに冴えていた。
――逃げなきゃ。
そう思うのに、足が動かない。
代わりに、震える手でスマートフォンを取り出していた。
「……証拠、残さなきゃ」
誰に言うでもなく、呟く。
震える指で、小型カメラと録音機能を起動する。
――見てしまったものを、なかったことにはできない。
「……全部、残す」
そっとドアを開け、音を立てないように外へ出る。
隣の家の位置を確認しながら、死角になる場所を探す。
「……ここなら」