裏の顔を知ってしまった私を先輩は離してくれません!
左の角を曲がった時、



低く、抑えた声が聞こえた。


「…だから言ったよね。余計なことすんなって。」


その声に思わず足が止まる。


──誰?


私が目で見たのはこの学校でほんわか王子様とウワサの

先輩だった。

私が知ってる先輩とはまるで別人みたいで。



「次はないから。ちゃんとして。」



静かで、冷たくて、感情の起伏がない。



──こんな話し方する人なわけ…


そう思った瞬間

通話が切れる音。


コツ、コツと足音が響く廊下。





「ねぇ、もしかして今の話聞いちゃった?」


その足音は先輩で、

表情はとても柔らかく、

微笑んでいるのに、



私は半ば無意識に1歩下がった。

さっき聞いた低い声と、目の前の優しい顔がどうしても結びつかない。


「……す、すみません」


そう言うと目の前の先輩は少し笑みが薄れた気がした。


「へぇ、」

「謝るってことは聞いちゃったんだ。」


静かに言いながらスマホをポケットにしまう先輩。




「困るなぁ…」



その一言が、

さっきの冷たい声と同じ温度で、

背筋を凍らせた。












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