没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
思わず声が大きくなる。

五百ゴールド――それは、想像を遥かに超える額だった。

弟を含めた家族四人が、余裕をもって暮らしていけるほどの金額。

(そんな……)

胸が一気に熱くなる。

これなら、家族を支えられる。

もう、困らせなくて済む。

迷う理由など、どこにもなかった。

「は、はい!ぜひ、お願いいたします」

深く頭を下げる。

すると――ふっと、彼がわずかに笑った。

ほんの一瞬。だが確かに、柔らかな表情だった。

「そうか」

ゆっくりと、椅子から立ち上がる。

そして、私の前まで歩み寄ると――静かに、告げた。

「お前を側に置く」

その言葉は、命令のようでいて――どこか、選ばれたようにも聞こえた。
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