没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
「ぶっ!」

殿下が、盛大に噴き出した。

「じょ、冗談にしては面白すぎるぞ……!」

肩を震わせながら、笑いを堪えきれていない。

「冗談ではありません」

きっぱりと言い切る。

「本気です」

その言葉に、殿下の笑みが少しだけ収まった。

「……無理だ」

殿下の短く、はっきりとした拒絶。

「危険だ。遊びではない」

「承知しております」

一歩も引かない。

「それでも、ついて行きます」

沈黙が落ちる。

まっすぐに見返すと、殿下はわずかに目を細めた。

(……試されている)

そんな気がした。ならば、示すしかない。

私はくるりと踵を返し、近くに繋がれていた馬のもとへ向かう。

そして――迷いなく、ひらりと鞍にまたがった。
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