没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
この方の側で、こうして過ごす時間が――

当たり前になっている。

そしてそれを、嫌だとは思えない自分がいる。

アルヴィオン様は、ふっと私を引き寄せた。

「どこへでも連れていく」

耳元で、低く囁く。

「おまえは、俺の側にいればいい」

その言葉に――私はもう、何も言い返せなかった。

こうして私が常に側にいるようになると、当然ながら周囲も黙ってはいなかった。

その筆頭が――リアン様だった。

アルヴィオン様の従兄弟であり、年上の側近。

常に冷静で、公務を第一に考える方だ。

「最近、侍女を側に置いているとか」

執務室の空気が、ぴんと張り詰める。

私は少し離れた場所で控えていたが、その言葉に思わず息を呑んだ。

「ああ。リゼリアだ」
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