没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
しばしの沈黙。

その中で――アルヴィオン様は、ゆっくりと父に歩み寄った。

そして、そっと肩に手を置く。

「俺を信じてくれ」

低く、静かな声。

「この家を、必ず建て直す」

「……皇太子殿下……」

父の目が揺れる。

「必ず、リゼリアを俺の妃にする」

その言葉は、誓いだった。

誰にも聞かせるためではなく――

ただ、真実として。

その場にいるすべてを貫くほどの、強い想い。

私は、ただその背中を見つめていた。

(どうして……)

どうして、そこまでしてくれるのか。

答えは、分かっている。

それでも――胸が、締めつけられる。

それは、アルヴィオン様の密かで――

けれど、揺るぎない決意だった。
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