没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
数日後――私は、宮殿に呼び出された。

理由はただ一つ。

皇太子殿下が、私を呼んでいるということだった。

(どうして……?)

胸の奥がざわつく。

あの夜会での出来事が、頭の中を何度もよぎる。

まさか、何か失礼なことをしてしまったのだろうか。

それとも――

考えれば考えるほど、不安は膨らんでいく。

それでも呼ばれた以上、行かないわけにはいかない。

私は深く息を吸い込み、宮殿の門をくぐった。

広く、静まり返った廊下。

磨き上げられた床に、自分の足音だけが響く。

案内された先は、大広間だった。

扉がゆっくりと開かれる。

その奥――ひときわ豪奢な椅子に、彼は座っていた。

皇太子、アルヴィオン。
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