没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
レオニー公爵の声が、かすれる。

「横恋慕というものは……お控えください」

それでも、最後の理性で言葉を絞り出す。

だが――アルヴィオン様は、微動だにしなかった。

「離れられないんだ」

静かに告げる。

「お互いに」

その言葉は、あまりにも強かった。

もう、誰にも止められない。

レオニー公爵は、しばらくその場に立ち尽くしていた。

やがて――何も言わず、踵を返す。

扉が閉まる音が、重く響いた。

その数日後。

レオニー公爵から、正式に婚約破棄の申し出が届いた。

すべては――

もう、止められないところまで来ていた。
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