没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
その肩が、わずかに震えている。

誇りと、安堵と――

長い苦難の果てに辿り着いた、ひとつの結末。

(……お父様)

私は、その光景を胸の奥で感じながら――静かに目を閉じた。

もう、迷うことはない。

私は、この人の隣に立つ。

正式に――堂々と。

宣言の余韻が残る中――

アルヴィオン様は、ゆっくりと玉座から降りた。

そのまま、まっすぐ私の元へ歩いてくる。

視線が、絡む。逃げ場のない距離。

「この日を、ずっと待っていた」

低く、けれど震える声。

私は微笑んで答える。

「まだ、婚約したばかりです」

そう言うと――彼は、かすかに首を振った。

「それはそうだが……」

彼が私ん元へ一歩、近づく。

「これ以上、待っていられない」
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