没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
(あの人らしい)

そう思った瞬間、胸の奥が柔らかくほどけた。

あの日、夜会で勇気を出して手を差し出したこと。

偵察の夜、初めて心を重ねたこと。

離れようとしても、離れられなかった日々。

すべてが、ここへ繋がっている。

(……幸せ)

そう、心から思えた。

扉の向こうから、足音が近づいてくる。

やがて、静かにノックの音。

「リゼリア」

聞き慣れた声。

「……はい」

返事をすると、扉が開く。

そこに立っていたのは――

正装に身を包んだ、アルヴィオン様だった。

「……カッコいい、アルヴィオン様」

思わず、素直な言葉がこぼれた。

正装に身を包んだ彼は、いつも以上に凛としていて――どこか、遠い存在のようにも見える。
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