没落令嬢ですが偵察の一夜をきっかけに皇太子に溺愛されています
「ああ……この温もり……」

そっと呟くと、アルヴィオン様がわずかに顔を上げた。

「ん?」

「安心します。あなたに守られている気がして」

胸の奥から自然にこぼれた言葉だった。

すると彼は、静かに微笑む。

「そうか」

そのまま、さらに強く抱きしめられる。

「もうこの体温は……生涯、君だけのものだ」

その一言に、胸がじんわりと満ちていく。

アルヴィオン様は、そっと私の手を取り――

優しく口づけを落とした。

「アルヴィオン様……ああ……」

名前を呼ぶだけで、幸せが広がる。

「その甘い声を、これから毎晩聞けるなんて」

低く囁かれ、思わず顔が熱くなる。

けれど――もう、隠す必要はない。
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