愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
「少しは、楽になったか?」
「はい。なんだか食欲もわいてきました」
そう言ってスプーンを握り直した小雪が、ふっと俺に微笑みかけてくる。その瞬間、唐突に胸が騒がしくなり始め、軽く動揺した。
……なんだ、これは。
「そういえば、小雪。昼間食堂で話した件だが」
内心戸惑っているのを悟られないよう、話題を変える。
「新町さんが言っていた『来週末の撮影』の件ですか?」
「ああ。広報部の氷室エクスプレス撮影隊一行が、来週の土曜にこの家を撮影しに来る」
「そうですか、広報部の皆さんがここに……えっ!?」
彼女らしからぬ素っ頓狂な声が、その驚きぶりを物語っていた。
やはり、もう少し早く相談すべきだったか……。
「だから、きみの持ち物は広報部の面々が到着する前に片付けておかなければならない。もちろんきみ自身がここにいるのもまずいから、当日は外出してもらおうと思っている」
「わ、わかりました。でも、私が外出するのは簡単ですが、持ち物を片付けるのは結構骨が折れそうですね。見落としがないようにしないと」