愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
しかし、私が遼河さんとの結婚を決めたのは、そもそも父の幸せを願ってのこと。
反対しようだなんて思うはずがない。父が母を大切にしていたことは娘の私が一番よく知っているし、笛子さんと結ばれたからといって、父が母を裏切っただなんて私は思わない。
「私は……父には、きちんと責任を持って、笛子さんを幸せにしてほしいと思っています。それに、私の保護者っていう立場を卒業して堂々と幸せになってほしい、とも」
「小雪……」
今にも泣き出しそうな目をした父が、私を見る。
そんな顔をされたらこっちまで目頭が熱くなってくるけれど、私はふたりを交互に見つめて笑顔を作った。
「だから、ふたりには正真正銘の夫婦になってほしいです。婚姻届の証人にだって、喜んでなります」
「小雪さん……ありがとう……」
「ありがとう……本当にありがとうな、小雪」
笛子さんは感極まったように瞳を潤ませ、父は何度も私に頭を下げる。それから顔を見合わせたふたりは、どちらからともなく両手を握り合っていた。
ふたりとも、私が結婚を認めてくれるかどうか、本当に不安だったのだろう。