愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
遼河さんに対する自分の気持ちが明らかに変化しているのを感じつつも、彼の帰宅が早い日に夕食の準備をするくらいの……つまりはこれまでとあまり変わらない日常を過ごすこと一週間弱。
週末の土曜日にはとうとう、私たちの自宅に氷室エクスプレスの撮影が入る日がやってきた。
撮影スタッフがやってくる約束の時間は、午前十一時。
私は念のためその一時間前から外出する予定になっているが、朝食はのんびり家で食べるつもりだったので、朝からエプロンを着けてキッチンに立っていた。
牛乳と溶き卵、砂糖を混ぜた卵液をバットに入れ、そこにカットした食パンを浸す。その間に、フライパンではバターを温め始める。
直後にドアが開く音がして、部屋着姿の遼河さんが部屋に入ってくる。
「あ、遼河さん。おはようございます」
「……ああ、おはよう」
まだ少し眠そうな顔をした彼が、サラサラの前髪をかき上げる。出勤の時にはきっちりセットして額を出しているけれど、休日や朝はいつもこのスタイル。
その無防備な姿にはやけに色気があって、なんとなく目を逸らしながら問いかける。
「遼河さんも食べますか? フレンチトースト」
「食べる」