愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
定期的に会っている友人は琉美くらいだし、会社でも基本的にひとりで行動することが多い私は、ひとりランチもひとり映画も抵抗なくできるタイプ。
それでも遼河さんと結婚してからは、この家から出てくる自分を会社の誰かに見られたら……と想像してしまい、出勤以外の外出が少し億劫になっていた。
だから今日、撮影で強制的に家を追い出されるのはちょうどいい機会だ。
「映画か。じゃあ、予告編で見たいものがあったらチェックしておいてくれ。次は俺とふたりで行こう」
「えっ? 遼河さんとですか?」
まさかの誘いに、ドキッと胸が跳ねた。
思わず聞き返してしまった私に、彼が少し不満そうな目を向ける。
「俺とじゃ不服か?」
「そ、そういうわけではありません。私たちの関係は極秘なのに、人の集まる場所に軽々しく出かけるなんて、と思っただけで……」
「近場の映画館を避ければ問題ないだろう。第一、上映中は暗いし」
遼河さんの中で、私たちが映画を見ることは決定事項のようだ。
もしも本当に叶ったら、デートみたい……。そう思うと、戸惑いよりも喜びがじわじわ胸に広がった。