愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

「りょ、遼河さん……?」
「妻なら、動画なんかより目の前にいる夫をちゃんと見ろ。あんな作り物の俺じゃなく、本当の俺を」

 どういう意味? まるで、動画の中の自分に嫉妬しているみたい――。

 戸惑って彼の目を見つめ返してみるものの、遼河さんはそのまま鼻先が触れるほど顔を近づけて来たので、私はギュッと目を閉じる。

 触れそうで触れない、それでいて彼の香りと体温が感じられるほどの距離に胸を高鳴らせていたその時。

 ――ピンポーン。

 平和なチャイムの音が聞こえて、私はおそるおそる目を開けた。

 目を伏せた遼河さんが落胆したようにため息をつき、私から離れる。

 今、キス……されそうだった、よね……?

 未だに鳴りやまない鼓動を聞きながら彼の背中を見つめていると、ダイニングの壁にあるモニターを操作し、門の前にあるカメラの映像を映した。

 私のいる場所からは見えないが、映像を確認した遼河さんが、すぐにモニターを切ってパッとこちらを振り返る。

「まずいぞ、小雪。広報部のやつらがもう来た」


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