愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
バスルームで息をひそめること、およそ一時間。部屋の撮影を終えたらしい撮影スタッフたちが、再びぞろぞろと廊下を通って玄関の方へ向かっていった。
聞こえてきた会話の内容から、次は庭のガレージを撮影するようだ。
今回は小鹿さんも集団と一緒に行動しているようだったので、ホッと胸をなでおろす。
玄関のドアが閉まった音がして、家の中が静かになる。その直後、誰かの足音が近づいてきて、私が寄りかかっているドアをノックした。
「仲真さん、新町です。今なら皆さん外に出ていますので、一度開けていただけますか?」
新町さん……?
言われた通りにドアのロックを外し、そっとドアを開ける。そこにはいつ見ても穏やかな新町さんの笑顔があって、張り詰めていた緊張の糸が切れる。
私は廊下に出て、新町さんに気の抜けた笑みを向けた。
「新町さん……」
「すみません、まったくフォローできず……。まさか、広報部が事前連絡もナシに予定より早く自宅に押しかけるなんて思ってもみなくて、駆けつけるのが少々遅れてしまって……」
新町さんが申し訳なさそうに眉尻を下げる。彼が気に病むことではないけれど、言われてみれば事前連絡がなかったのはおかしい。