愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 優しさと強引さとが同居した彼らしい言葉に、鼓動が跳ねる。

 でも、いったいそこにはどういう気持ちがこめられているんだろう。単に、契約上の夫としての義務感?

 そうだとしても、遼河さんが私を、寄りかかってもいい存在だと思ってくれているのは、素直に嬉しい。ある程度心を許してくれていなければ、そんな発想にはならないと思うから。

「わかりました。あの、それと……私、遼河さんのことを尊大だなんて思っていません」

 新町さんの言葉の中で、それだけは否定しておきたかった。

「……ありがとう」

 ふっと笑った彼が、耳元で囁く。誤解が解けてよかったけれど、彼の温かい息があたって顔から火が出そうなほど恥ずかしい。

「新町のことはともかく……実は今日、きみと結婚していることを暴露してしまいたい衝動に駆られていたんだ。もちろん実際は耐えたが、今になって苦しくなってきた」
「大丈夫ですか?」

 遼河さんが弱音を吐くなんて珍しいし、声にも覇気がなかったので心配になる。

 隠れているだけの私よりも、撮影対応に追われたり、カメラを向けられたりしていた彼の方が、確かにストレスはあっただろう。

 落ち着かせるようにそっと彼の背を撫でると、顔を近づけてきて、至近距離で私の顔を覗いた。

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