愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

「公表は、一年後……だよな」
「はい。そういう約束……だったはずです」
「そうだよな」

 低い声で言い聞かせるように呟く遼河さんは、なんとなく弱っているように見える。

 ……でも、私はなんて言ってあげたらいいんだろう。

 今すぐ公表して構わないと言えるほどの自信はないし、小鹿さんの存在も気になるし………。

 口を開きかけても結局彼に伝えるべき言葉を探し当てられないまま、じれったい思いを抱いていたその時。

 遼河さんが不意に私の手を取り、スルッと指を絡めて壁に縫い付けた。

 自然と視線が絡まり、ドキン、と胸が鳴る。

「一年後に結婚を公表――その約束は守る。しかし、他の条件に関しては……」

 そこで一度、言葉を切った遼河さん。

 続きを私が問いかけるより先に、彼がもどかしそうな掠れ声で言った。

「もう無理なんだ。きみに触れずにはいられない」

 絡み合う彼の指先に、ギュッと力がこもる。あっと思った時には、遼河さんの唇が私のそれに重なっていた。

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