愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる

 最初はとても苦手な相手だったし、契約結婚を承諾したのも父のためだった。

 そもそも、私は彼に興味がないから、妻候補に選ばれたのに……ミイラ取りがミイラになってしまったみたいだ。

 ただ、遼河さん自身の内面や行動も、結婚当初とはだいぶ変わっている。

 単に迷惑がられるなら、この気持ちはずっと隠し通しておいた方がいいけれど、今の彼は少し、違う反応を見せる気がする。

 だからって、告白する勇気なんてないけど……。

 パソコンで単純作業をしているとつい色々と考えてしまい、一度軽く首を振って深呼吸する。

 明日からの連休には楽しみな予定があるのだ。勝瀬さんには『連休前でも浮かれてない』と言われたけれど、それは顔に出ていないだけ。

 実は、遼河さんと以前交わした〝一緒に映画を見る〟という約束を、彼が叶えてくれようとしているのだ。

 前に話した時は、人目が気になるという私に『近場の映画館を避ければ問題ない』なんて言っていた彼だけれど、その辺りもきちんと配慮してくれて、南房総にあるシアタールーム付きのリゾートヴィラを、一泊分予約してくれた。

 しかも、あの美しい蝶をモデルにしたユリシスを遼河さん自らが運転し、連れて行ってくれるそう。

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