愛なき契約結婚のはずが、クールな御曹司の激しい独占愛に堕とされる
「……冗談だよ。泣けるラブストーリーにする」
声のトーンを落とし、囁くように言った遼河さん。突然甘い空気を醸し出され、心臓が暴れる。
ここが公共の映画館なら慌てて抵抗するところだけれど、今は都心から離れたヴィラにふたりきり……。
誰かに見られる心配もないので、ドキドキしながら彼に身を預けさせてもらう。こんなに寄り添っていたら、気持ちが伝わってしまいそう。
遼河さんは映画の選択を済ませると、部屋の明かりを絞る。シアタールームが本物の映画館のように薄暗い空間になる。
遼河さんの視線はすぐにスクリーンに固定され、その横顔は真剣なものになる。
一方で私は、彼と密着している緊張感、時折さりげなく肩をさすられる感触で気が散ってしまい、序盤はあまり映画の内容があまり頭に入ってこなかった。
それでも徐々に物語に入り込み、クライマックス――ヒロインが病で命を落とし、ヒーローが人目もはばからずに泣き叫ぶシーンが映し出されると、感極まって目頭が熱くなり、自然と涙が溢れてしまった。